前回 トカラ海峡での黒潮の凄まじいパワーを紹介した。
しかし、黒潮は何も魔の海峡作りばかりしている訳では無い。
ちゃんと、恩恵ももたらしてくれているのだ。
今回の主役は、薩南諸島屋久島と、
中国浙江省杭州(セッコウショウハンヂョウ)の両者である。
左MAPにある通り、
屋久島はほぼ北緯30度
線上に位置するが、
お隣中国では、東シナ海
の1000kmを隔て
浙江省杭州あたりが、
同緯度に該当する。
ただし杭州には
黒潮の影響は微塵も無い
さて、中国には従来から四大かまど(最も暑い都市)の
ランキング発表があり、
「おらが町が一番暑い!」「いや、うちの方が一番だ!」といった
威信を賭けた論戦を展開している模様である。
2013年7月17日 中国気象局発表の
「中国四大かまど都市」ランキングによると、
四大かまど 1位 福建省福州市
2位 直轄市重慶市
3位 浙江省杭州市
4位 海南省海口市
とあり、杭州市は 中国で3番目に暑い都市との事である。
余談だが、日本の猛暑ランキングベスト4は、
1位 高知県四万十市(2014年8月12日 41.0℃)
2位 埼玉県熊谷市 (2007年8月16日 40.9℃)
同点2位 岐阜県多治見市(2007年8月16日 40.9℃)
4位 山形県山形市 (1933年7月25日 40.8℃)
である。
さて、話を元に戻すと、杭州は全く侮れない猛暑都市なのである。
ただし、猛暑のあとに穏やかな冬が来るのか?と言うと
世の中そんな単純ではない。
屋久島と杭州
こちらは残念ながら威信を賭けるほどの接戦ではない。
両者の平均気温を比較すると下図のようになる。
夏場は4者ほとんど差がなく説明省略。
本題、一番寒い1月の
平均気温
屋久島北部・・・・・11.3℃
屋久島南部・・・・・12.8℃
浙江省杭州・・・・・3.8℃
参考で東京・・・・・5.5℃
ほぼ同緯度の屋久島と杭州が、平均気温にして
なんと9℃も違うのである(@_@;)
東シナ海を1000km隔てるとこれほど違うものだろうか?
ちなみに各々の緯度は
屋久島北部(北緯30度37分)
屋久島南部(北緯30度24分)
浙江省杭州(北緯30度27分)
参考で東京(北緯35度69分) である。
それだけではない。
信じられないが、杭州の1月は
緯度にして5度以上も北の東京より2℃近く寒いのである。
また、注目すべきは
屋久島同士でも 北部と南部では1.5℃も違う事実。
黒潮がまともに当たるか、まともには当たらないかの違いだけで
こんなにも違うものだろうか?
屋久島北部の年間平均気温・・・19.2℃
屋久島南部の年間平均気温・・・20.4℃
やはり、黒潮の影響力を否定できない。
怪物黒潮は、トカラの海で怒濤を誇りながらも、
温暖という置き土産を決して忘れてはなかった。
一方、中国猛暑ナンバー3 杭州の冬は、
東シナ海1000kmの道程を経て、
はるかに望む怪物黒潮の恩恵を
悲しいかな、
爪の先ほども享受成し得なかったのである。

