【冬の読書】街とその不確かな壁 | レモンパン日記

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たぶん多くの人(ファン)がそう感じたと思うんだけど「村上春樹だったなぁ」の一言に尽きる。少年と少女。あっちとこっち。自分ともう一人の自分(影)。あるいは、手紙の文体と会話の口調。おなじみの比喩。女性との出会い方……いや、そんなキーワードや手法で語りつくせないくらい「村上春樹だったなぁ」。

 

振り返れば(4月に買ってるので)読み始めてから9か月くらい経ったんだけど、決して途中で飽きたわけではなく。忙しい日常の中で少しずつ読んでみたものの、とにかく集中して読みたかったから、年末年始を機に最初から読み直してついに読了。最後のページを終えた後、思わずこのハードカバーの重みを手に感じながら瞑想しちゃったよ。触覚から何かを感じ取るように。

 

でも、改めて思ったんだけど(誤解を恐れずに言えば)そこに具体的に何が書かれているかということはそれほど重要じゃなくて、その文章の積み重ね(行間)から感じることをそのまま感じ取ることがいちばん贅沢な楽しみ方なんじゃないのかな。学生の頃は好きな表現に赤線引いたりして、それはそれで楽しかったんだけど、あれから四半世紀を経て向き合い方が変わったなぁ。