杜の都の演劇祭
プログラムD『薬指の標本』

小川洋子さん原作
茅根利安さん(ココロノキンセンアワー)演出

元サイダー工場の女工“わたし”と標本技術士・弟子丸氏を軸に、
「標本室」で繰り広げられる物語。

淡々と進められる物語の中、時として現れるどこか耽美で官能的な場面。

“わたし”の心模様と、そこから導かれて取った行動…。

“わたし”を演じた、古巣綾さんの淡々とであったり、またキリッと読み進める中、時折見せる笑顔で語りかける演技が印象的でした。

そして、場面場面の展開を印象づけてくれた、仙台フィルのチェロ奏者・山本純さんの演奏。

あっという間の2時間でした。


観ていて、原作に対して考えた事。

1つは靴の位置付け。
成人女性の足に触れ、履かせる行為は、仮にインドの方々が観たら、日本人以上に官能的な場面なんだろうなぁ…とか。
靴という足元から、主人公をじんわりと束縛し愛する表現・視点の凄さ。

1つは、とある場面で、弟子丸氏が主人公を『浴槽の周りを3周目の14歩目で止めた』と有ったが、これは小川さんの音の響き等で選んだ表現なのか?

それとも、円周率3.14になぞらえた小川さんの遊び心なのか?

なんて思いを巡らせる点もあり、物語の世界観も含めて、原作を読みたくなります。

因みに、今回の演目に合わせて提供された飲食物に『サイダー』が有りました。


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