てぃだかんかん
(太陽燦々・太陽かんかん照り)

“昔のきれいな珊瑚の海を取り戻したい。妻と子供達に見せてあげたい。”

この一念で、世界初の養殖珊瑚の移植、産卵という奇跡を起こした、こよなく故郷の海を愛する、金城浩二さんと美佐江さん夫妻と家族の現在進行形の実話である。


お人好しで、決して器用な振舞い・生き方が出来るタイプでない主人公・健司役に岡村隆史さん。

元来、根が真面目だと言われている彼らしく、ビックリさせてくれたのは、アクセント云々ではなく、対話する際のスピードがご本人の雰囲気にかなり近かった。いかにご本人と話し込んだかが窺い知れる。


そして、夫の夢を一緒に叶える覚悟をする、優しくも内に心の強さを秘めた、もう1人の主人公である妻・由莉役に松雪泰子さん。

悲壮感溢れる役から、破天荒な振舞いをする役まで幅広く演じきれる彼女。
李監督が描きたい由莉像を忠実に演じきったであろう事が伝わってくる、観た側に与えてくれる安心感。


また、この夫婦を取り巻く肝心な役柄に、國村隼さん、原田美枝子さんといったベテランと、中堅若手の吉沢悠さんと、演技力に疑う余地無き方々を配している。

それと金城さんご本人も、ちょっとだけ出演されている。


これに要所で流れるcobaさんのアコーディオンの音色が、場面の雰囲気を締めてくれていた。


普通の男の普通ではない偉業を達成した“水滴岩をも穿つ”一途な思いと生き様、そしてそれを支えた人々の姿を観て欲しい。
また、そうさせた沖縄の美ら海に思いを馳せながら、観て欲しい。


珊瑚の白化現象は『人災』である。
この言葉は非常に重い。

陸上に森林という酸素・二酸化炭素の交換システムが有るように、海中に珊瑚礁(褐虫藻)という酸素を供給してくれる存在が有る。これを改めて考える、良い機会かもしれない。