パッキパキ北京 綿矢りさ | (本好きな)かめのあゆみ

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かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

冒頭の女性三人のやりとりがいけず過ぎて

なんだこりゃ

って感じだったのだが

読み進めていくうちに

主人公の菖蒲(あやめ)の魅力が心地よくなっている。

 

菖蒲の夫に近い慎重派のぼくにとっては

菖蒲のぐいぐい楽しみに向かって突き進んでいく姿は

あまりに危なっかしくて心配だけれど

羨ましい気持ちもある。

 

そこまで快楽を優先できるメンタリティってすごい。

 

現実世界にもこういうひとをときどき見かける。

 

実際コロナに何回もかかったり

酷い目に遭ったりもしているけれど

それでも反省することなく

むしろこのくらいなら大丈夫と経験値を上げて

快楽追及にまい進する。

 

パワフル。

厚かましさ図々しさっていうのも

生きていくうえでは必要だよね。

 

作者の綿矢りささんは

たぶんこんな感じのひとじゃないような気がするので

そのなりきり感っていうのがすごいと思う。

 

的外れかもしれないけれど

読みながら

サリンジャーのライ麦畑や太宰の女生徒のイメージが

よぎった。

 

ラストの菖蒲の決意は

きっとどこかで破綻するだろうけれど

おもしろいから支持したい。

 

ちなみにぼくも

じぶんの脳内で幸福を完成させる技術に取り組んでいる。

 

これってエコ。

最強の錬金術。

 

あと単純に

コロナ禍の北京の暮らしぶりや

生活、文化がこれでもかと描かれていて

ちょっとした滞在感覚も味わえた。

 

食べることの魅力がまじであふれていた。

 

じぶんの街を外国人にこんなふうに表現してもらえたら

かなりうれしいし興味深いと思う。

 

ぜひ北京のひとたちにも読んで欲しい。

 

 

 

--パッキパキ北京--

綿矢りさ