読み始めてしばらくは
あまりにもふだん読んでいる文章と前提が違い過ぎていて
なんだこりゃ
という感じだったのだが
これはもしかすると新鮮な世界観と邂逅できるかもしれない
という期待を感じながら読み進めた。
じぶんの世界観の狭さ
言い換えると
じぶんが観ている世界は普遍的ではない
というのに気づかせてもらえる作品との出会いは幸福だ。
聖書の言葉を引用しながら書かれている19の文章。
聖書に対して従順なアプローチではないが
かといって冒涜しているというのでもなさそう。
そんなふうに生きてきたらこういうふうな世界になるのか。
芸術家とくに前衛のみなさんってそういうところあるよね
って括るのは乱暴だからぼくはしない。
無軌道で非常識な生き方だけど
常識を鵜呑みにすることに比べたら
全然信用できる。
自由なように見えて
無難な道を選ばないというのは
険しい日々だと思う。
どうやって生活が成り立つのだろう?
と疑問にもなるが
成り立っているわけだから
こういうのっていいよね。
エリイさんの出産にまつわるあれこれも独特だけど
かなり共感するところもあるので
つまり今の常識にお利口に従っているひとも
もちろん不満や疑問は抱えているんだろう。
夫との関係も
そりゃそういうのがいいよ
ってぼくなんかは思うけど
受け入れられないひともいるだろうから
やっぱり前衛的ではあるのだろう。
まあ
一見平凡なひとが
内面に前衛を抱えていることはよくあるので
見るからに前衛なひとが前衛な言動をしてくれるのは
わかりやすいといえばわかりやすい。
前衛も続ければ普通になっていく。
意識的に
前衛をしてやろう
というのはかっこわるくて
自分では自分の常識に従って言動しているだけだけど
他人からは前衛に見えているだけ
というのがかっこいい。
出産の話でいえば
凍結卵子へのアプローチは書かれていたけど
出生前診断には触れられていなかったので
エリイさんがどう考えているか興味があるけど
さすがにこれは部外者が立ち入れる問題ではない。
個人的には
出生前診断というのは
女性に葛藤を強いるシステムだと思うし
葛藤しないで良いような社会のコンセンサスが
できればいいなとも思うけど
まあ意見が割れるところなので
難しいよね。
こういう
ふだんは文章を専門にしていないけれど
文章を書いたら独特のセンスが表現される
っていうひとの文章を読むのはとても刺激的。
ーーはい、こんにちは Chim↑Pom エリイの生活と意見ーー
エリイ