マンガで入門 世界一ゆるい哲学 マイケル・F・パットン ケヴィン・キャノン | (本好きな)かめのあゆみ

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かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

まんがなので読みやすいのは間違いない。

とはいえ限られたページ数なので

ざっくりとしているのは仕方がない。

 

それでもポイントをよく押さえているような気がする。

 

著名な哲学者の考え方でも

ぼくが知っているのとはちょっと違う切り口だったりもして

興味深かった。

 

案内役はヘラクレイトス。

 

第1章の論理のところがまず新鮮だった。

 

論理には「演繹的」なものと「帰納的」なものがある。

 

これは知ってるけどいまいち違いがよくわからなかったんだよね。

 

でもこの本での説明はぼくなりに腑に落ちた。

 

「演繹法」を見出したのはアリストテレス。

 

演繹的推論は

たとえば数学での公理を積み重ねての推論。

 

前提となる公理が誰にとっても間違いなく共通なので

導かれる推論も強固なものとなる。

 

「帰納法」の解説はジョン・スチュアート・ミル。

 

帰納的推論は経験で得た一般法則による推論。

 

ぼくたちの日常ではこっちの方がよくつかわれている。

 

演繹法と違って前提があくまでも経験則なので

その前提がどれだけ間違いないかということがポイントになる。

 

帰納的推論の前提はあくまでも現時点で最良なものに過ぎず

常に見直される可能性があることを謙虚に自覚しておかないと

傲慢で独り善がりな論理になる。

 

で実際に傲慢で独り善がりな論理を展開しているひとはいっぱいいる。

 

原発事故や新型コロナでもそうだけど

科学者が結論を出さないことを頼りなく感じるひとが多いけど

謙虚に問題に向き合えば科学者は決断するひとではなく

実験で得た見識を述べるひとにしかなりえないんだよね。

 

そんな感じで思考を展開する準備として論理を押さえておいて

そこから

知覚

自由意志

倫理

についての哲学的議論の変遷を追っていく。

 

ここでは知っていることも知らなかったこともある。

 

最初の方で書いたようにざっくりとはしているが

それぞれの哲学者の論理のポイントを押さえつつ

それを対比していくような進め方がおもしろかった。

 

 

 

 

--マンガで入門 世界一ゆるい哲学 「人生の答えがわかる」かもしれない23賢人の教え--

マイケル・F・パットン

ケヴィン・キャノン

大田黒奉之 訳