東京飄然
から続く感じの作品。
飄然から超然へ。
身近な日常の旅の雑感
って感じかな。
雑誌連載時は
熱海超然
だったらしいので
本作中の
田宮
という地名は熱海のことなのだろうか。
あいかわらず独特で
読んでいて癖になる心象表現。
この作品を読んで
世界の見え方が変わるわけでもないし
どきどきはらはらするわけでも
感動したり泣けたりするわけでもない。
はっきりいって
読んだあとにはほぼ何も残らないのだが
ぼくにとっては読んでいる最中にとにかくおもしろいのである。
リズムもいいし
言葉のセレクトもいいし
諧謔というか皮肉というか自虐というか
そういうのもいい。
結果として
まったく超然としていないし
むしろどつぼにはまっているのだが
こういう視点で見られたら
いつものまちの風景も
退屈しないでいられるだろう。
--どつぼ超然--
町田康