川上未映子さんのサイン会に行ってきましたよ part4 | (本好きな)かめのあゆみ

(本好きな)かめのあゆみ

かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

きのう、川上未映子さんのサイン会に行ってきた。

 

新刊

夏物語

の刊行記念。

 

未映子さんのサイン会は2年半ぶりの4回目になる。

 

おそらく紀伊國屋書店梅田本店のサイン会は皆勤賞だと思う。

 

前作の

ウィステリアと三人の女たち

ではサイン会はなかったと思うので

あこがれ

以来のサイン会。

 

といっても

味園ユニバースでの

マームとジプシーの公演

みえるわ

のときに

未映子さんの姿は見ているので

それ以来ぶりってことになる。

 

さすがにサイン会も4回目ともなると

万事に余裕で

なんなら忙しかったら無理してまで行く必要もないかもな

なんて考えもよぎったのだが

やはり

会いたい

サインをもらいたい

というファン心理が強く働き

土曜日ではあったが参加してきた。

 

14時10分前に受付開始ということであったが

きっとその前から受け付けるだろうなということもわかったうえで

まあゆっくりでいいだろうと

30分前に書店に着いていながら

本棚を物色するなどして時間を調整していた。

 

15分前くらいにふと

そういえば未映子さんが

下のフロアから階段を上がって会場入りする場面を観られるんだった

と思い出して受付に行くと

案の定

すでに40人くらいの列ができていた。

 

そして14時になって未映子さんがご登場。

 

この登場のしかたがいいんだよね。

 

読者に会えてこころからうれしい

という笑顔であいさつしてくれる。

 

ぼくと目が合ってぼくに気づいてにっこりしてくれたかも

なんて思ったりして。

 

まあこれはしあわせな勘違いも甚だしいわけなんだけど。

 

会場入りされて

順番に小部屋のなかに案内される。

 

ぼくの番が回ってくるまでは

ひとり1分としても40分くらいかかるだろう。

 

並んでいるひとたちから推察するに

ファン層は以前に比べて確実に広がっているような気がする。

 

きみは赤ちゃん

とか

早稲田文学女性号

なんかで未映子さんに関心を持ったひとは多いんじゃないかな。

 

夏物語

反出生主義

なんかのテーマも扱っているみたいなので

ショックを受けるひともいるかもしれないな。

 

まあでも

このことを考えるのはたいせつなことなので

きっかけはどうあれ多くのひとに考えてほしい。

 

ひとの命をこの世に生み出す責任の重さ。

 

順番を待ちながら

未映子さんになんて話しかけようかと考える。

 

いちおうあらかじめ考えてはいた。

 

なにか聴きたいことを質問するか

自分がいかにファンであるかを伝えるか。

 

いい質問をするのにはセンスがいるような気がするので

自分が川上未映子作品のどういうところが好きかを伝えようと

決めていたけど

当日に書店からもらったメッセージカードにそれを書いてしまったので

ほかになにかないだろうかと考えていたのである。

 

ふと壁をみると夏物語のポスターが貼ってあり

乳と卵の続編

と書いてある。

 

そこでひらめいた。

 

乳と卵を読み返してから夏物語を読むべきか

夏物語を読んでから乳と卵を読み返すべきか

迷っているけれどなにかご助言はいただけますか?

 

これでどうだろう。

 

わりとセンスのある質問ではないだろうか。

 

だいたいご本人を目の前にすると

緊張して噛み噛みになって

うまく言えないことがわかっているので

こころの中でなんども繰り返してリハーサルする。

 

そしてぼくの番が回ってきて小部屋に呼ばれる。

 

前には男性、その次に親子らしき女性と少女。

 

男性が比較的長く未映子さんに話しかけていたのだが

ああ、募る思いを伝えたいんだなあ、ぼくにもそんなことがあったなあ

と余裕の気持ちで眺めていた。

 

次の親子らしき女性と少女は気さくな感じで未映子さんと

もうすぐ夏休みねえ

などと話していたが

乳と卵の巻子と緑子の母子と重ね合わせ

彼女たちはこの物語に何を感じるだろうか

なんて考えてみる。

 

ぼくの順番になったわけだが

なぜかすでに話しかけたい気分は薄れていて

早くサインをいただいて

早くこの部屋を出て行こう

未映子さんもいつになくお疲れのように見えるし

これからまだ60人くらいと話すであろうから

ぼくとの時間を休息に使っていただこう

などという気持ちになっていた。

 

あとで思えばこれも完全なひとりよがりで

未映子さんにしてみたらせっかくの機会なので

読者との会話はしておきたかったかったかもしれない。

 

それに

サイン会まで来ておいて話をしないファンというのは

ある意味では不審だったかもしれない。

 

ところで

今回もこれまで同様に

過去に美術館で購入していたローランサンのポストカードに

メッセージを書いたものを用意していたので

それを渡した。

 

すぐに読もうとした未映子さんに

あとで読んでいただければ

いや、なんなら読んでいただくまでもありません

と声にならない声で伝えた。

 

どうにか伝わり

心地よい沈黙の時間のなか

未映子さんが本にぼくの名前とサインを書く。

 

サインをしてくださった後

お手紙は必ず読ませていただきます

とていねいに言いながら握手をしてくださいました。

 

ぼくがついつい左手を添えると

未映子さんも左手を添えてくださいましたが

だいたいいつも握手の感触とか

なんにも覚えていないんだよなあ。

 

たぶんお互いの手はほとんど触れていなくて

両手でそっと包み込むようなかっこうになっているんだと思う。

 

いったいなんの分析をしているのだろうと自分でもおかしいが。

 

ともかくもやはり参加して良かったサイン会。

 

帰り道にはついつい顔がにやけてしまいました。

 

未映子さん、出版社のみなさん、書店のみなさん

ありがとうございました。

 

良い夏の思い出になりました。

 

ぼくはたぶん

あえて乳と卵を読み返さずに夏物語を読むと思います。

 

楽しみ楽しみ。