久しぶりのシェイクスピア。
やっぱり美文に痺れます。
福田恆存さんの名訳。
イアーゴーの奸計によって
ありもしないスキャンダルに嫉妬の炎を燃やすオセロー。
登場人物の感情や思考が単純化されすぎているとはいえ
それを吹き飛ばしてあまりある勢いとリズムとテンポと美しく趣の深い文章。
気の利いた箴言に溢れている。
イアーゴーに踊らされていることに気づかない
単純なひとびとなのにそれぞれに神話的で魅力があるんだよなあ。
とはいえぼくは屈折したイアーゴーがいちばんおもしろい人物だと思う。
ゲーテのファウストでもメフィストーフェレスがいちばん好き。
いいひとはつまらない。
そういうこと。
それにしてもイアーゴーよ。
いったいきみはなにをしたかったのか。
転がりだしたときから既に自らの破局も決まっていたはずなのに
それに気づかなかったのか。
それとも自分を含む世界の破滅を目論んでいたのか。
--オセロー--
シェイクスピア