ランちゃんのお父さんは
作者の高橋源一郎さんを思わせる。
ハラちゃんは誰をモチーフにしているのだろう?
肝太先生はカント
理想先生はルソー。
くにをつくる
っていうので
井上ひさしさんの
吉里吉里人
を思い起こさずにはいられなかった。
この作品ではこどもたちがつくろうとするんだけどね。
こどもたちのまわりのおとなたちが実にやさしい。
こんなふうにこどもたちに接せられたらどんなにいいだろう。
キヨミヤくんがいうように
ランちゃんはすごく恵まれていると思う。
でもそれだけじゃないんだろうな。
だからキヨミヤくんもランちゃんたちのことを気に入っている。
こどもたちがみんなこんなふうに過ごせたならどんなにいいだろう。
序盤はすこし説教臭さが見え隠れしているような気がして
高橋源一郎さんらしくないなとも感じたんだけど
アイと雪の女王さんが現れたあたりから
俄然おもしろくなってきた。
アイちゃんたちの一族は
国民なのか
基本的人権を有しているのか
ってあらためてきかれると
即答できない。
それって実はすごいことなんだけど
意識しないでもやっていけるのだから
不思議な仕組みだ。
アイちゃんの家の本棚から通じる場所。
ここで現れる半裸の男性が誰かはすぐにわかった。
ぼくもこのひと
好きなんだよね。
かなりの変人なんだけどね。
でも世界を知ろうとするならそれくらいじゃなきゃ。
ぼくもキャラメルの箱をもらいたいけど
自分で用意したいと思います。
それで
まあ全体として興味深く読んでいたんだけど
終盤の展開でうれしいおどろき。
まさかこの作品で涙が出てくるなんて思っていなかったので。
ハラちゃんがいつも電話で話していたひと!
エピローグもいい。
わくわくする。
納得できるまで自分の頭で考えること。
何事も結論を急ぎ過ぎないこと。
(仮)っていうことで考えながら進めること。
身近なひとの話をきくこと以上にたいせつなことなんてないんだよ。
こどもたちもおとなたちも。
--ぼくたちはこの国をこんなふうに愛することに決めた--
高橋源一郎