店主が先ほど女性から受け取った茶封筒を持ってきた。そして中身を確認するよう促される。
怪訝に思いながらも促されるままに中身を取り出す。なにかのパンフレットのような冊子が入っていた。
カウンターの席に座ったまま彼女が声をかけてくる。
「見ない方がいいと思うけど」
じっとこちらを見つめている。
初対面の店主と初対面の女性と。どちらのことばを信じるべきか。
悩むのはよそう。いまは何にしても事態を前に転がす方がよさそうだ。この不可解な状況を理解する手がかりになるかもしれない。
パンフレットのような冊子の表紙とおぼしきページを見る。幾何学模様のデザインのうえになにやら見たことのない文字でタイトルらしきものが書かれている。どこの国の言語か。まったく読めない。ページをめくる。中にはやはり読めない文字が書かれており、また、どこかのジャングルのような場所の写真や地図がちりばめられている。
結局終わりまでページをめくっても、このパンフレットのような冊子が何を意味するのかはわからなかった。
「これはいったい?」
店主に尋ねたが、店主は肩をすくめただけだった。念のため、女性にも視線で問いかけてみたが、彼女も首をかしげただけだった。