太陽
惑星
私の恋人
異郷の友人
ときてそろそろこの世界観というか作風を続けるのには
ネタ切れ弾切れかな
なんて思ってたら
とんでもない。
まだまだこの作家の壮大なスケールの想像力は尽きない。
ぼくは好き。
まあこういうのに興味がないひとには
ちっともおもしろくないかもしれないけど。
田辺と水上の対話。
神ポジション。
ぼくもついつい気をゆるめると
そんな感じで話してしまう。
神ポジションって
日常の些事を棚におけるから
楽なんだよね。
無責任に神目線で語る無駄話。
美希子アサイン。
これは作品とは無関係の感想だけど
親しい女性と
ふだんの関係性とは異なるシチュエーションで偶然会うと
なんだかどきどきするよね。
街を歩いているときに
後姿をみてきれいな女性だなと思っていたら
よくみるとふだんから親しい女性だったりして
そんなときはちょっとはずかしい。
で
そんなふうにして
出会い直す
田辺と葵。
田辺にとっての葵の変化。
だんだんと自他の境がぼやけてくる。
わたしがあなたで
あなたがわたしで。
それが連鎖して
いつか人類全体に
あるいは宇宙そのものが一体化する。
っていうか
素粒子レベルでは
すでに自他の境なんてないよね。
冗談なのか本気なのか。
まあぼくはけっこう本気なんだけど
世間的には冗談っぽく話してみたりする。
この単行本に収められているのは
表題作のほか
重力のない世界
双塔
の2作の掌編。
20~30ページのこれらの作品の方が
先に発表されているので
それを素材にイメージを膨らませて
表題作が描かれたんだろうな。
無機的なこれらの作品もぼくの好み。
ぼくたちはすでに肉の海の一部なのかも。
座標になりたい。
っていうかもうなってる。
新潮では
キュー
の連載もスタート。
--塔と重力--
上田岳弘