副題は
哲学的諸問題へのいざない
というだけあって
ほんと、いざなってるわあ。
夏休みじゃないけど
大型連休
はおとなにとっては夏休みに匹敵する貴重な
おやすみ。
ちょっと哲学してみようかな
なんて読んでみたわけです。
が
む、む、むずかしい!
「いまが夢じゃないって証拠はあるか」
「たくさんの人間の中に自分という特別なものがいるとはどういうことか」
「さまざまな可能性の中でこれが正しいといえる根拠はあるか」
「自分がいまここに存在していることに意味はあるか」
っていう4つの章があって
13歳の翔太と哲学猫のインサイトが対話しながら
これらの問題について理解を深めていくんですが
翔太がとても13歳とは思えない理解力でついていけないのです。
各章のなかに設けられている小見出しを読んでるだけでも
興味津々で
答えを知りたい
って思う素材ばかりなんですけど
けっきょく答えにはたどり着かずに
提示されるのはむしろ
哲学とはなにかを主張することではなく
まさにその徹底的に問題を考え抜く態度のことである
っていうことだったりして
まあそりゃそうだろうとは思いながらも
ちょっと残念だったりもしつつ
でもなんだかそれはそれでさわやかだったりもするのでした。
思想や宗教は理屈抜きにひとのこころに訴えかけるものであり
哲学と混同してはいけない
っていうのはなるほどそうかもしれないなって納得。
ついつい
哲学は思想や宗教とおんなじでアプローチが異なるだけ
なんて思いがちなのであらためてそれを認識させてもらいました。
それにしても内容はまったくもってちんぷんかんぷんだったのに
なぜか読んでいるあいだはさわやかな気分になれたので
これっていったいどういう仕掛けだったのかな。
もういっかい読み返したら
きっとなにかあたらしいことに気づけるにちがいない。
そんなふうに思える1冊でした。
――翔太と猫のインサイトの夏休み――
永井均