記憶にある限り初めて読む江戸川乱歩作品。
新潮文庫。
これはR15指定だなあ。
子どもには到底お薦めできない。
でも
そういうのにこそ子どもは惹かれる
っていうのはいつの時代も同じこと。
ぼくももし子どもの頃に読んでいたら
倒錯したおとなになったかもしれない。
っていうか
読んでないのに
しっかりと倒錯したおとなになってしまっているような気もしてきた。
いや
倒錯したおとなになってしまっているっていうのは
やはり子どもの頃に江戸川乱歩を読んだことがあることの
証拠かもしれない。
ああエンドレス。
所収されているのは
二銭銅貨
二廃人
D坂の殺人事件
心理試験
赤い部屋
屋根裏の散歩者
人間椅子
鏡地獄
芋虫
の9編。
あたりまえだけど
この時代がかった雰囲気がいい。
大正の終わり。
トリックなんかは
もう現代までにかなり踏襲されつくしているので目新しさはなく
展開もある程度読めてしまうのだが
そこはやはり文章の力。
知性と耽美
そして背徳。
ほかの作品を読んでいないので間違っているかもしれないが
この傑作選のセレクトは絶妙だと思う。
二銭銅貨と二廃人あたりは
さほど猟奇的でもなく
スタイリッシュである。
D坂の殺人事件あたりから
怪しげな趣味が現れ始める。
最初からこれだと
読まず嫌いなひとが続出するかもしれない。
じょじょに乱歩的世界に意識を慣れさせてくれるのがいい。
終盤の
人間椅子とか鏡地獄とか芋虫とか
すごくいい。
この世界観はぼくは好き。
色褪せない名作。
--江戸川乱歩傑作選--
江戸川乱歩