僕らはソマリアギャングと夢を語る | (本好きな)かめのあゆみ

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かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

ほんとうにごめんなさい。

利己的で怠惰な人生を送ってしまっていて。

この本を読んでいてそう思いました。

この本はノン・フィクションです。

現在25歳の永井陽右さんが
早稲田大学1年生のときに立ち上げた
日本ソマリア青年機構
のおよそ5年間の活動の軌跡です。

ソマリアで起こっている絶望と悲劇との闘いの記録ですが
そんじょそこらのフィクションを蹴散らす
スーパー青春ストーリーのようでもあります。

現実にはこんなに熱い若者たちがいるんだと
激しいショックを受けます。

ぼくが
とにかくただ楽しければいいと
利己的に享楽的に生きていた学生の年頃に
これほどまでの情熱と行動力を持って
距離的にも時間的にも文化的にも距離のある
ソマリアの問題に立ち向かう若者たちがいるなんて。

社会人経験をかなり積んだいまのぼくでも
永井さんたちと同じような行動は絶対に無理です。

もともと頭がいいのには違いないけれども
圧倒的な経験不足をものともせずに
手探りで問題にぶつかっていく
っていうのはすごい。

永井さんたちは
世界最悪の紛争地であるソマリアを離れて
隣国ケニアのイスマリー地区で暮らすソマリア人たちと協力して
現地でギャング化してしまった若者たちと対話しながら
かれらの自発的な目覚めを促すことによって
治安と尊厳の回復を目指します。

距離的にも時間的にも文化的にも距離があるけれども
おなじ若者である
という共通点だけを手掛かりに。

うん
考えてみれば
おなじ若者である
っていうのはお金や経験以上に
圧倒的な手掛かりだな。

読んでいると
無茶だ
とか
無謀だ
とか
危険だ
とか
自己満足に過ぎないのではないか
とか
思うこともあったのだが
それでもやはり永井さんたちの行動は尊敬に値する。

よく
紛争地で武装勢力に捕らえられ人質になったひとに対して
利己的な行動で国や国民に迷惑をかけている
という非難がされるし
ぼくも少なからず
人道的な活動をしたいなら
危険な外国でなくても日本国内にもたくさんの問題はある
と思っているふしがあるのだが
それでもこの本で永井さんの思いを読んでいると
日本人がソマリア人のために現地で活動することの意味
っていうのを感じられた。

ほんとうにすごく尊敬する。


ただぼくが知らないだけで
永井さんみたいなひとたちは
きっと世の中にはたくさんいるんだろうな
とも思えてきて
世界にはまだまだ希望はある
と思えてくる。

本の最後に
これまでお世話になったひとたちへの
感謝のメッセージが添えられているんだけど
ここにあがっているたくさんの名前をみると
やっぱりひとはひとに支えられてなにごとかをなすんだな
ってつくづく思う。

家族のことにはまったく触れられていなかったんだけど
永井さんの家族は永井さんのこの行動をどう思っているのか
っていうのも聴いてみたいような気がした。





--僕らはソマリアギャングと夢を語る--
永井陽右