ガーン。
衝撃。
と
こんな軽い調子で書き出してはいけない。
毎日
世界のどこかで
とてつもない事件や事故が起こっている。
ぼくはそれを認識しながら暮らしている。
決して感覚を麻痺させてはいけない。
そう思っている。
だからどんな遠いできごとにも
できるだけ関心を払うようにアンテナを張っている。
そういうわけで
世の中の出来事にそうそう簡単に驚くことはないのだが
この記事にはショックを受けた。
日本で闇の代理出産
中国人74組 業者仲介
料金1500万円 代理母には200万円
組員が名義貸し
簡単に整理するとつぎのような感じ。
不妊に悩む中国の富裕層が
仲介業者に費用を支払い
日本国内で代理出産させる。
代理母は借金がかさみ
指定暴力団の関係者に
返済策として
代理出産をもちかけられた。
この記事では
代理母は都内のクラブで働く在日中国人ホステス24歳。
取材に応じた仲介業者によると
この代理出産ビジネスは4年前に始め
74件成功しているらしい。
代理出産の法律が整った米国ではなく日本を選ぶのは
子どもを将来の日本移住の足がかりにするためという。
日本では代理出産であっても
生まれた子どもは出産した女性の戸籍に入れられる。
代理母を日本で探すのは指定暴力団関係者ら。
中国から出稼ぎに来て失敗した人
多額の借金を抱えた人
いずれも低所得の独身女性。
子どもの出生届を日本の役所に提出する際は
暴力団組員の日本人が父親として名義を貸しているという。
代理出産の依頼者から受け取る1500万円のうち
代理母には200万円しか分配されない。
この額は途上国の代理母より安いが
借金をしている弱みを暴力団に握られているためだ。
へたな要約できちんと伝わらなければ申し訳ない。
また
新聞の記事がかならずしも正しいわけではないということは
押さえておかないといけない。
で
ここからはぼくが思ったこと。
この記事が事実であるとすると
というか十分事実であり得る内容ではあるが
すごく嫌な気持ちになる。
でも嫌な気持ちになる理由が
自分でもいまひとつわからない。
代理出産についての嫌悪か。
たしかに個人的には
そんなことまでしてこどもを授かりたいのか
っていう気はする。
しかし
それはひとそれぞれだから
代理出産してほしいひとと
代理出産してもいいよというひとがいるならば
いいんじゃないかとも思う。
だから代理出産そのものへの嫌悪ではないと思う。
ではそこに費用が発生しているから嫌なのか。
たしかにそれはあるかもしれない。
お金でひとの肉体を借りるということへの嫌悪。
お金を得るために肉体を使うということへの嫌悪。
両方あるのかもしれない。
でも
お金をもらえば引き受けるよ
というひとがいるならば
それを依頼することの何が悪いのか。
また
お金を得るために子宮を貸すことの何が悪いのか。
お金を得るために肉体労働するのと何が違うのか。
自分の肉体を自分の好きなように使って何が悪いのか。
そういわれるとちょっと反論しづらい。
生命の尊厳を踏みにじっているから
っていう反論もあるのかもしれないが
どうにも説得力が弱い気がする。
日本人ではなくて中国人が日本でやってるから嫌なのか。
それもあるかもしれない。
仮に日本人の富裕層が日本人の貧困層に依頼していたとしたら
ここまでの嫌悪感は抱かないかもしれない。
いや
やっぱりこれは日本人どうしでも嫌だな。
この
富裕層が貧困層に依頼する
という構図が嫌悪感の理由のような気がしてきた。
しかもこの記事の場合は
借金が原因で暴力団が絡んでいる
っていうことだから余計にそう思うのかもしれない。
では
女性が自らビジネスとして代理出産をしようとするのなら
嫌悪感を抱かないか。
うーん
微妙。
ビジネスとして自ら売春をするのは構わないか
っていうのと同じかも。
違うかも。
それとか
自ら臓器を売るのは構わないか
っていうのとか。
いや
でも
やっぱり
貧困が原因でなければ
そんなビジネスはやらないような気がするから
けっして自由意志ではないような。
選択せざるを得なかった選択肢は自由な選択とはいえないような。
仲介業者や暴力団が暴利を貪っているっていうのも
嫌悪感の理由かな。
あと
やっぱり金を積んで依頼する方にも嫌悪感を抱いているような気がしてきた。
金か
って。
でもそれを言い出したら
世の中のかなりの事柄に嫌悪感を抱かないと辻褄が合わないような気もする。
まあこの手の話にはそもそも当事者にしか立ち入れない部分があって
部外者がどうのこうの言える筋合いのもんじゃない。
それでもひとつ忘れてはいけないのは
おとなの都合はいろいろあるにしても
生まれてくるこどもがそれをどう感じるか
っていう視点だと思う。