やばい・・・
知ってはいけないことを知ってしまった。
うすうす気づいてはいたけれども
どうやらこれで確定だ。
誰かに言いたくて言いたくて仕方がない。
でも言ったら何者かに命を狙われるかもしれない。
いや
どうせ命を狙われるならその前に
ここでそれを発表しておく方がいいかもしれない。
どうしよう・・・
ええい
言ってしまおう!
人間の秘密を知ってしまったのだ。
それは何か。
人間のあらゆる行動の基準だ。
人間は
気持ちいいか気持ち悪いか
で行動しているのだ。
脳内に分泌されるドーパミンをはじめとした快楽物質。
報酬系と呼ばれる脳の機能。
これが出ると気持ちいい。
気持ちのいいセックスの際にはドーパミンが放出されるらしいが
子孫を残すことが人間という種の究極の目的であるとすれば
それは納得である。
セックスが気持ち悪いなら誰も好き好んでやらない。
子孫繁栄の義務感だけでやるひともいるかもしれないけれども
その場合でも
その義務感がそのひとにとってはドーパミン放出のスイッチになっているわけだ。
そう
つまり人間は
気持ちのいいことをやろうとし
気持ちの悪いことを避けようとする
ということだ。
人間にとっての最高のご褒美は何か。
それは金でも権力でもセックスでもなくドーパミンなのである。
金を得ることでドーパミンが分泌されるひとは金を求め
権力を得ることでドーパミンが分泌されるひとは権力を求め
セックスをすることでドーパミンが分泌されるひとはセックスを求めるのである。
ドーパミンは脳内麻薬と呼ばれるが
ずばり麻薬と同じで中毒性がある。
いちど金を得てドーパミンが分泌された経験があれば
また金を求めるようになる。
だんだん慣れてきてしまうので
もっとドーパミンを分泌させるために
もっと金を得ようとする。
もっともっともっと。
この際限のない欲望はまさにドーパミンの分泌への欲望。
それをひとは
金への欲望とか権力への欲望とかセックスへの欲望っていっているけど
とどのつまりはドーパミンへの欲望なのである。
ドーパミンさえ分泌されればスイッチは何だってかまわない。
いいことである必要さえない。
暴力を振るうことでドーパミンが分泌されるひとはもっと暴力を振るうようになるし
他人を支配することでドーパミンが分泌されるひとはもっと他人を支配しようとするようになる。
褒められることでドーパミンが分泌されるひとはもっと褒められようとするし
ひとを助けることでドーパミンが分泌されるひとはもっとひとを助けようとする。
マラソンを走ることだって
小説を書くことだって
残業をすることだって
クレームをいうことだって
それで気持ちのよくなるひとにとっては
それがドーパミンを分泌するスイッチになっているのだ。
戦時中の日本人はもしかしたら
戦争を支持することでドーパミンが分泌されていたのではないか。
そして敗戦してすぐそのスイッチが民主主義に変わったのではないか。
要はスイッチは何だってかまわないのだから。
多くのひとにとってこういう考え方はきっと荒唐無稽に感じられるだろう。
実はぼくだってこころの底から信じているわけではない。
でも
こんなふうな考え方もあるのかも
って思えることで気持ちが楽になれるってこともあるかもしれない。
たとえば嫌なお客さんから理不尽なクレームをつけられているときに
ああこのひとはいまドーパミンが分泌されていて気持ちよくなっているんだろうな
って思えたら少し気持ちが落ち着くのではないだろうか。