最近
エスカレーターの手前で葛藤している。
乗るべきか
乗らざるべきか。
いつからぼくはこんなふうになってしまったのだろう。
そう
あれは数年前
衝撃の事実を知ってからだ。
エスカレーター上では歩行禁止。
えええええええっ!!!!!!
うそお!!!!???
地域によって右側を空けるか左側を空けるかの違いはあれども
急ぐひとが歩けるように片側を空けるのはマナーだと思っていたのに。
エスカレーター上で歩くことで接触による転倒の危険性が高まること
骨折など身体上の要因でどちらか片側の手すりにしかつかまれないひとがいること
が理由らしい。
たしかに右足を骨折して右手で松葉づえを利用しているときなんかは
左手で手すりを持った方が乗りやすいので左側に寄りたいが
大阪では歩くひと用に左側を空けているから流れを止めることになって気をつかう。
マナー知らずの邪魔者扱いさえされかねない。
だったらエレベーターを使ったらいいやん
という意見もあるかもしれないが
エレベーターが不便な場合もあるし
そもそもなぜ自分は骨折しているのに
歩けるくらいに元気なひとのためにエスカレーターを遠慮しなければならないのかとも思う。
エスカレーター上では歩行禁止
というルールを知るまでは
大阪で左側に立っているひとがいると
歩きたいのに邪魔だなあ
と感じていたがそれはこちらが間違っていたのだ。
そして葛藤はここから始まる。
急いでいるときにはエスカレーターを使わないようにしよう。
そう思って階段を歩いていると
じっとしてエスカレーターに乗っているのと同じくらいの速さなので
なんだか損をしたような気分になる。
ならばということで
じっとしてエスカレーターに乗ろうとすると
今度はどちら側に立つべきかで悩む。
右側に立つとすると
歩くひとのために左側を空けているみたいで
それだとエスカレーター上で歩くことを認めているような気分になる。
だったらぼくも歩きたい。
かといって
エスカレーター上では歩行禁止
というルールが万人に定着しているとは言い難い現状で左側に立つというのは
結構勇気がいる。
急いで歩いているひとに邪魔者扱いをされたときに反論する度胸がぼくにあるだろうか。
いや
ない。
そんなふうにもじもじと葛藤しているあいだにエスカレーターはぼくを置いて進んでいくのであった。