NHK-FMの番組“アニソン・アカデミー”でのトーク力、MC力に魅せられてファンになったしょこたんこと中川翔子さん。
つねづね頭がいいと思っていたが、この自伝的作品“ねこのあしあと”を読んでその理由がわかった。
無類の猫好きなしょこたんだけに、もちろん猫のこともたくさん書かれているのだが、メインはしょこたんの血のつながり。
母、亡き父、母方の祖母、父方の祖父を中心に、しょこたんの成長に大きな影響を与えた血族のストーリーが描かれる。
で、その血族がみな、独特というか、ものすごく個性的で、非常識な行動もあるけれども、好きなことはとことん追求し、出し惜しみはしないっていうひとばかり。
おとなになってから知った、出生届にまつわる名前の衝撃。
ラップ音が鳴る家。
母方の祖母の波乱万丈の生き方。
母と父の出会いのエピソード。
生き神と慕うジャッキー・チェンさんとの数奇な縁。
父方の祖父による科学や芸術への興味。
よくもまあこれだけ次から次へといろんなことが起こる家系だなあと唖然とするが、それもそのはず、全員がエネルギッシュに人生を全力で愉しもうとしているからなんだろう。
強く結ばれた家族の強い愛がぼくにも伝わってきて、読みながら何回も目頭が熱くなった。
あっという間に一気読み。
この本にはしょこたんの胃腸の話は出なかったけど、胃腸の弱いしょこたんが、ハードなスケジュールでも仕事を全力でこなしている姿をブログなどで見ていると、なんだかぼくもがんばらなきゃって思うのだ。
しょこたんをますます応援したくなる一冊だった。
読み物としても優れていると思う。
――ねこのあしあと――
中川翔子