14歳。14歳。14歳。
この苦くて痛いひびき。
最弱かつ最強の時代。
中二という名の病。
14歳にまつわる作品は多い。
楳図かずおさんの“14歳”。
池田晶子さんの“14歳からの哲学”。
宮台真司さんの“14歳からの社会学”。
↑THE HIGH-LOWS↓さんの“十四才”。
それは自我の破壊と発見のあわいの崩れやすい時間。
あまりにも、あまりにも魅力的な時間。
なんていいながら
自分自身の14歳を思い出すと
思い出すだけで砂を噛んだような気分になるという
完全に自我をこじらせてイタくなっていた時代でした。
で、この本。
量子論に基づく宇宙創生理論「ゆらぎ」研究の第一人者
佐治晴夫さんの筆によるもの。
この肩書から
子ども向けに書かれた科学の扉的内容
かと思いきや
なかなかおもしろい本でした。
おわりに
にあるように
物理学の側に立った時間というより
私たち人間の「心の側に立った時間」
という立場に心をくばりながら
書かれています。
だから
論理的に時間とは何かを究明したい
と思いながら読み進めると
少々肩透かしをくらったような感じになります。
もちろん時間というものが
なんらかの自然の繰り返し
たとえば
地球の自転とか
原子の振動とか
そういうものによって約束事として決められている
ということも書いてありますが
相対性理論による立ち位置の違いを基にした人間の時間感覚
の方により重点が置かれています。
まあそういう堅苦しいことは抜きにして
14歳に向けて愛情たっぷりに書かれた
詩のようなおとぎ話のような
そんな物語として読んでみるのがたのしいかもしれません。
ずいぶん前におとなになったかつての14歳と
現在進行形の14歳では
この本から受けるインスピレーションは
かなり違うものになるでしょう。
説明を大胆に省略しているせいで
飛躍しすぎているように感じてしまい
それはおかしいんじゃない?
って思う部分もところどころあるんですが
宇宙はカオスあるいは究極のランダムに向かっていき
生物はそれにあらがって個体の継続を保とうとする
っていう考え方や
宇宙のはじまる前には時間さえなかった
っていう考え方など
おもしろい発想(検証に基づく論理的な着地点)がちりばめられていて
興味深かったです。
とにもかくにも
ぼくたちは正真正銘の星のこども
なのです。
――14歳のための時間論――
佐治晴夫