やっぱり椎名林檎さんの声や歌い方はいいなあ。
もはやどんな曲を歌ったとしても、その歌唱をきくとぼくの脳内には快楽物質が分泌されるのだ。
たぶんお経とか朗読とかそういうのでも、声を聴いているだけでうっとりできそう。
ひとは誰でも、自分にフィットする声っていうのがあると思うけど、ぼくにとっては林檎さんの声がまさにそれ。
無人島に持っていくなら林檎さんの楽曲だな。
前置きが長くなりましたが、“逆輸入 ~港湾局~”の話。
タイトル通り、林檎さんが他のアーティストに提供した楽曲を逆輸入して、自身で歌い上げるという趣向。
提供した相手も意外性があるというか。
PUFFYさん、TOKIOさん、広末涼子さん、栗山千明さん、SMAPさん、野田秀樹さん、ともさかりえさん、真木よう子さんという面々。
広末さんとか、栗山さんとか、ともさかさんの曲なんて、かわいいというか甘いというか、いい感じで、林檎さんが自分が歌う楽曲ならこういう曲にはならなかっただろうな、って感じなんだけど、逆輸入して林檎さんが歌うとそれもまたよしという。
栗山さんへの提供曲“青春の瞬き”には林檎さんバージョンのミュージックビデオもあり、その曲は林檎さんらしい変則的でも普遍的な構成でドラマチック。
TOKIOさんへの提供曲“雨傘”は英語詞で、躍動感のあるかっこいい楽曲になっている。
PUFFYさんへの提供曲“日和姫”はアレンジの日高央さんの遊び心からか、たぶん林檎さんの歌唱は重ね録りで、ひとりPUFFYみたいになっていて、元気いっぱいでいい感じ。
真木よう子さんへの提供曲“幸先坂”はアコーデオンの演奏に切ない哀愁が漂っていて、夏のはじめの夕陽を見下ろす坂の上にいるみたいな感覚がする。
提供されたみなさんのオリジナルもきっといいんだろうけど、林檎さんが逆輸入した自作自演のこのアルバムも、やっぱりぼくは好き。
――逆輸入 ~港湾局~――
椎名林檎