もーぅ、有川浩さんったら反則すぎますよっ!
猫と飼い主のロードムービー(ロードノベル?)、っていったらもう完全に泣けるコースじゃないですか。
阪急電車を読んだのが3年前。
あのときもベタ甘にとろけましたが、この作品も展開がわかっているのにジーンとしちゃうって、なんですか? これ。
ナナ(♂)のクールさと利口さと可愛さは絶品ですね。
読んだことがないのですが、夏目漱石さんの吾輩は猫であるを現代風にアレンジしたらこんな感じになるんでしょうか? (全然違う?)
もともと野良猫だったナナ。
とある事故がもとで悟と暮らすことになる。
しかし主人公の悟がのっぴきならない事情でナナと暮らせなくなり、引き取り手を探して、銀色のワゴンで昔の友人たちを訪ねてあちらこちらを旅する。
移動中にふたり(ひとりといっぴき)で見る景色。
移動先での友人たち(動物たちも)との交流。
平易な文章でさらっと書いてあるからついうっかり見過ごしがちだけど、なかなかにひとのこころの機微が描かれてるんですよね。
でもちょっときれいすぎて、屈折しているぼくには少し物足りなかったりもするんですが。
それにしても有川浩さんは、やっぱり読者思いの、エンターテインメント作家さんですね。
読者が読みたいエピソードをこれでもかと放り込んできます。
猫好きの方なら、単純に、気持ちよく泣かせてもらえる作品だと思います。
――旅猫リポート――
有川浩