大ヒットミュージカルの映画化。
絶賛上映中の
レ・ミゼラブル。
観てきました。
冒頭の船の引き上げシーンから圧倒的な迫力。
司教の銀の燭台の場面では早速涙がこぼれだし、あとは2時間30分延々感動に打ち震えながら涙を流し続けていました。
舞台のミュージカルは観ていません。
けれども数年前、ことあるごとにメディアにあらわれるこのレ・ミゼラブル、ああ無情、ここらでひとつ原作を読んでおくかと思い立ち、書店に文庫を買いに行くと予想外。
新潮文庫でなんと全5冊。
長っ。
それでも意を決してひとまず1冊だけ購入。
読み始めると、しばしば挟まれる詳細すぎる時代背景の描写。
またか、とうんざりしながらも我慢して読み続けるとその時代背景の描写が利いてきて本編の感動がいや増しに増す。
そして2冊目、3冊目と読み進め、5冊目を読み終えたのは読み始めてから1年以上経ってから。
ときおりつらい読書でもあったけれども、そこを越えると感動が数倍に膨らんで押し寄せてくるのがわかっているのでがんばれる。
残りのページが薄くなるにつれ、1年以上付き合ってきた素敵な登場人物たちとわかれることになるのかと寂しさを募らせるようなそんな読書体験でした。
で、そういう経験があるから、この映画も大満足。
ちょっといきって言わせてもらうと、小説を読んでいるからこそぼくはより感動できたと思うんです。
もちろんこのミュージカルの世界だけでも揺るぎない完成度はあるけれども、行間というか背景というか小説のそういうことを思い浮かべながら観たぼくは、なんて贅沢。
ぼくにとっては小説を振り返るダイジェストとしても愉しめたのです。
この映画を気に入ったひとは、ぜひ、小説にも触れていただきたいけれども、さすがに誰にでもお勧めできる長さではないのです。
ところで、歌を先にレコーディングしてそれを流しながら口パクで演技するパターンじゃなくて、全編、演技しながら歌ったというこの作品。
オーディションには大物俳優が多数挑んだものの、歌唱力で選ばれた出演者たち。
どんだけ芸達者やねん、っていうくらい、いい声、いい歌唱。
やはりこの長大なドラマを2時間30分に収めようとするとメロディーの力を借りることは正解。
ジャン・バルジャン役のヒュー・ジャックマンさん、ジャベール警部役のラッセル・クロウさん、どちらもかっこよすぎ。
そしてぼくの大のお気に入りは、ファンテーヌ役のアン・ハサウェイさん。
アリス・イン・ワンダーランドの白の女王のときから魅了されています。
今回の演技も光っていました。
あ、そうそう、テナルディエ妻役のヘレナ・ボナム・カーターさん。
このひとは何やらしてもこなします。映画に必需です。
コゼットもマリウスもエポニーヌもアンジョロラスもテナルディエ夫もよかった。
ガブローシュの登場シーンでは大きく空気が変わりました。
ほんとうにもう映画作りのプロが結集したこの作品。
多額の製作費がかかっている映画はやはり見応えがあります。
世界で勝負している映画は違う。
大ヒットなのも納得です。
映画の舞台にも行ってみたい。
学生たちがバリケードを張った小路はこれまでに何度も見たことがあるような気がしますが気のせいでしょうか?
くどいですが、小説をがんばって読めば感動はさらにアップです。
ぼくもまた読みたくなってきましたよ。
――レ・ミゼラブル――
原作 ヴィクトル・ユゴー
監督 トム・フーパー