其礼成心中 | (本好きな)かめのあゆみ

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其礼成心中


それなりしんじゅう

と読みます。


近松門左衛門さんの曽根崎心中をもじったタイトルです。


いかにも三谷幸喜さんらしいユーモアのセンスです。


戯曲を読ませていただきました。


床本

っていうのかな。


第一場 天神の森 半兵衛、心中に水差すの段


第二場 饅頭屋夫婦 人助けの段


第三場 繁盛曾根崎饅頭 ライバル出現の段


第四場 大近松 半兵衛直訴の段


第五場 半兵衛おかつ 淀川入水の段


三谷さんは特に文楽愛好家というわけではなさそうですが

文楽に興味はあったそうです。


なにより会話劇全般に対する愛があるんでしょうね。


物語としてはいかにもベタな展開ですが

三谷さんが書くと安心できるドタバタさ楽しさ底堅さ。


語りと三味線と人形が一体となった舞台を観るともっと味わいがあるのでしょう。


途中に挿入される実際の文楽の七五調の言い回しの美しさをみると

ぼくとしてはどうしても現代の観衆向けにアレンジするよりも

古典芸能としてのオリジナルの方が高級な芸術のように思ってしまいそうになりますが

そこが素人の浅はかさで

織田作之助さんが二流文楽論で述べているように

似非文化人の手から気取らない庶民の手に戻してこそ

文楽の魅力が活きるのかもしれません。


いや

やっぱり芸術性と娯楽性の両方かな。


文楽といえば

11月の仮名手本忠臣蔵は通しで観ると10時間くらいになるのでどうしても手が届きませんでしたが

2~3時間の公演があるのならぜひとも観に行かなければと気持ちをあらたにしました。



――其礼成心中――

三谷幸喜