寺子屋トーク 第65回 死者が大阪を賦活する時~宗教観光都市論~ | (本好きな)かめのあゆみ

(本好きな)かめのあゆみ

かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

行ってきました。


寺子屋トーク 第65回 死者が大阪を賦活する時~宗教観光都市論~。


天王寺区下寺町の應典院本堂ホール。


ものがたり観光行動学会第2回年次大会の前夜祭企画として開催されたものの

脱線だらけというかはなから位置づけなんて関係なかったというか

宗教観光都市の話にもものがたり観光の話にもなりませんでした。


もっぱら中沢新一さんの新著

大阪アースダイバーにちなんだ話に終始しました。


ぼくはそれが目的なので良かったんですけどね。


内田樹さんと

中沢新一さんという

ビッグネームがお二人も揃うなんて

たいそう贅沢なトークでした。


ぼくにとっては

先日見逃した

川上未映子さんと

穂村弘さんの

トークに匹敵する素敵な組み合わせなのです。


会場はお寺とはいっても近代的なビルディングで

その本堂ホールも立派な建物でした。


150席くらいだったかな。


関係者席には

釈徹宗さんや江弘毅さんの姿も見えました。


暗闇に浮かぶろうそくの明かりで開幕。


活けられたすすきが空調の風に揺られていました。


舞台の正面にはご本尊(?)。


内田先生も中沢先生もご本尊に手を合わせてから舞台に上がられていました。


のっけからトップスピードで

ぼくにとっては興味深いお話の連続。


情報量過多でメモをとる手がフリーズしました。


もともとは内田先生がメインの会だったみたいですが

今回は内田先生は中沢先生におしゃべりの主役の座を譲ったようで

上手な聞き役に徹しておられるようでした。


ぼくは中沢先生が大阪を評する時の

上町台地の南北軸と

河内から大阪湾への東西軸の

ダイナミックな構造がお気に入りです。


大阪が海民の文化であるとか。


大阪アースダイバーの裏話で

本にも書いていない大阪のフィクサー的な存在の人に話をつけるというところから大阪アースダイバーを始めたからそのあとは何を書いても許されるくらいのバックアップが整った

とおっしゃっていましたがなんだかちょっと儀式めいていますね。


中沢先生はだいたいいつもそういうとりかかりかたをするそうです。


内田先生が

大阪が元気がないのは経済の問題なんかじゃなくて土地の霊力の弱まりが原因と考えている

というと

中沢先生が

まさにそれを言いたくて大阪アースダイバーを書いたんだよ

と応じていました。


ほかにお二人がおっしゃっていたことをメモのまま書き出してみます。


大阪に生命力をもたらすのは大地のエネルギーだから

大阪の人はそこに気付いてほしい。


新自由主義なんてやっていたらだめ

ガラパゴスこそが生き抜くために採るべき道だ。


いま大阪で起こっていることは

中国の文化大革命みたいなもので

数年後に実態があきらかになるだろう。


日本の宗教は森。

森の存在が日本文化を特異なものにしている。


グローバリズムによる食の均質化は食料の奪い合いを起こし

飢餓のリスクを高める。


それぞれの文化がそれぞれ違うものを食べることこそ

飢餓を防ぐ方策。


日本が周辺国と近頃よくもめるようになってきたのは

価値観が似通ってきているからだ。

価値観が近づけば理解が深まるなんてうそで

お互いの考え方が違っている方がはなからぶつからない。


すみ分けている方がリスクに強い。


KARAがグローバリゼーションなら

AKBは里山だ。


大阪の没落は海民であるにもかかわらず川を埋めたこと。

道路を掘り返して川の復活を。


内田先生は

大阪ヴェネチア化計画。


中沢先生は

東京の春の小川計画。


迫力のあるライヴを観ているように

最初から最後まで刺激的で芳醇な空間にいられて幸せでした。