誰かの幸せに口をはさむ | (本好きな)かめのあゆみ

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かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

若きブータン国王夫妻の来日に沸き立ったあの頃。


幸せの国。


日本人の郷愁。


何が良いかって文明の国際標準を拒否したところ。


日本人はいわゆる国際標準にだいぶ参らされているからね。


半年以上前に新聞でブータンの特集を組んでいた。


思うところあり今でもその紙面をデスクの端に残している。


インドのドラマをDVDで見る若い僧侶たち。


都市部での自家用車増加による交通渋滞。


インターネットの解禁。


ハリウッド映画の流行。


同じような建物が建ち並ぶ新興住宅地。


インド資本による水力発電所の建設ラッシュで起こる好景気。


携帯電話で親戚と話す地方の農業従事者。


なんだか胸がざわざわする。


キ・ケ・ン。


このままではブータンの幸せが壊れてしまうのではないか。


貧富の格差の拡大。


日本の二の舞。


いや待てよ。


そんなの余計なお世話じゃないのか。


ぼくは自家用車にも乗るし携帯電話でも話す。


それによって何かを失っていることにも薄々感付いてはいるが現実に便利な思いをしている。


自分が現にいましていることをブータンの人々にはやめてほしいというこの気持ちはなんだかうさんくさい。


ブータンはこれまで堪えていた文明の国際標準化の大波にこれから一気に呑み込まれていくのだろうか。


それとも様子見をしていた後発国として良い部分だけを上手に取り込んでいくのだろうか。


いずれにしても部外者のぼくなんかが身勝手にブータンに郷愁を感じたり行く末を案じたりすることの不誠実からは遠ざかりたい。