白い街 | (本好きな)かめのあゆみ

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かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

久しぶりに平日の昼間の街を歩いた。


5月の北浜の街は白い。


コンクリートとアスファルトに夏至の近づく太陽の光が反射する。


緑が少ないので光は吸収されることなく反射に反射を重ねる。


光のピンボール。


鏡のような街。


平たくいえばまぶしい。


まばゆいというよりもまぶしい。


光があふれ音が消える。


刺激。




ランチタイムのオフィス街。


お昼時が近づくと急ににぎわう。


いつもならぼくもその中のひとり。


日常にまぎれて気づいていなかったが行き交う勤め人たちの表情は明るい。


晴れやか。


あたかも天国のランチタイム。


そんなにお昼ご飯が楽しみですかっていうくらい喜びにあふれている。


ように見える。


シュルレアリスムっていうのはこういうことかと思う。


なかから見ていた自分の視点をそとに置いてみると劇的に世界が変わる。


午前中の仕事を終えてランチに繰り出す人々の幸福な笑顔を見ているとそれだけで人間ってすばらしいと言いたくなる。


当事者は気づいていないのだけれども。




ランチタイムを過ぎて喫茶店に入る。


さきほどまでのにぎわいはすっかり消えた静かな昼下がり。


会社員らしい年配の男性が入ってきた。


アメリカンを注文する。


1~2分で出てきたそれをぐいっと飲み干すとすばやく支払いを済ませて立ち去った。


入店から退店までわずか4~5分。


ほんとうにコーヒーがお好きなんですね。


イタリア人がエスプレッソを飲むのってこんな感じなのだろうか。


エスプレッソではなくてアメリカンなんだけど。


それにしてもその身のこなしは実に颯爽として格好がよかった。


もしかしたら単純にいらちなカフェイン中毒者であるだけなのかもしれないがこのときはなんだかダンディだと思えた。


ぼくが喫茶店に入るのはコーヒーをゆっくりと飲みながら本を読むという時間と空間を目的にしているからなのできっぱりとコーヒーだけを目的にするこの行為の潔さが清々しかったのである。


いいものみたな。