ささいなことばで傷つけあって
ふたりのあいだには気まずい沈黙。
言わなきゃよかった
そのひとことに後悔。
けれども言わずにいられなかった
その蓄積。
おとなのふたりはしばらく距離を置く。
しかしおとこはいつまでもくよくよ思い悩み
気まずさは消えるどころか
むしろ想像の中で尾ひれを付け足して増幅。
気まずい気持ちのまま再会すると
おんなはなにごともなかったかのように
いつもどおりの明るいふるまい。
完全に忘れているぞと安心する。
ところが忘れた頃に
あのときのあのひとことに対する
非難を浴びる。
忘れた頃にやってくる災い。
とんだ災難。
もういまさら謝ることもできない。
売り言葉に買い言葉。
おとことおんなの争いには
はっきりとした終結宣言はありえない。
頭を丸めても
高価な贈り物をしても
これでけじめ
これで手打ち
になんてならない。
争いや緊急事態に
終結宣言はあるのだろうか。
イラク戦争終結宣言
原発事故収束宣言。
なにやら正体不明の宣言が
立て続けに虚しく響く。
当事者には
終わりは来ない。