自分の言動が
誰かの引用そのものではないかと
疑いだしたら
もう無間地獄。
あっという間に
自己の崩壊。
雑貨店というものには
はいりにくい。
買い物の愉しみがわからないので
雑貨店でぶらぶらと物色する
なんていう高等遊民なあそびは
とうていできない。
なりゆきで雑貨店にはいってしまった。
案の定
手持ち無沙汰。
たちどころに
目のやり場に困る。
どの雑貨をどういうふうに鑑賞すればよいのか
わからない。
興味のないひとには
珍しい植物も
雑草にしか見えないがごとくに。
が
意外にも本が売られていることに気づく。
雑草の中の花たち。
ぼくが読んだことのあるものや
読みたいなと思っていた本が多い。
っていうか
そういう本ばっかり。
ぼくの書棚であるかのように。
へえ
案外いいセンスしてるよな
なんてお店の担当者を心で称える。
しかし
散在する本のエリアに並んでいる
お気に入りの本たちを眺めているうちに
違和感を覚え始める。
この状況を
たのしんでいてよいのか。
いったいぜんたい
ぼくの好みとほぼ一致している本たちを
セレクトしているのは
どこのどなたか。
いや逆に
ぼくはすでに
どこのどなたかの
戦略によるセレクトにのせられて
これまで読書をおこなってきたのではないのか。
自分の意思で選んできたつもりが
実は選ばされていた
なんて。
愕然とする。
センスのよいセレクト・ショップ。
行きたくもあり行きたくもなし。