日本の大転換(上) | (本好きな)かめのあゆみ

(本好きな)かめのあゆみ

かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

すばる 6月号に掲載です。

こういう雑誌を購入するのは

初体験のような気がします。


中沢新一さんの

圧倒的な知識の集積による

ユニークな視点が

相変わらず興味深いです。


日本文明

っていうものがあるのかどうかはともかく

それがなんとしても

根底から転換されねばならぬ状況になっている

といいます。


いままでの延長ではなくて

明確に未知の領域に突入しているという

自覚はあるでしょうか。


中沢新一さんは

現在日本で起こっている状況を

46億年前の地球の誕生から

紐解きます。


人類の歴史が始まって以来はじめての

生態圏外エネルギーの活用。

核融合だか核分裂だか

そのへんはよく分かりませんが

もともとの生き物の生態圏にはない

いわば太陽の極限の状況が

生態圏に持ち込まれている

不安定さ。


原発の状況を

荒ぶる神を鎮めようとやっきになる神官たち

という表現をするひとは

わりといたかと思いますが

一神教の思想と

原発の思想を

重ねるのは

さすがです。


こういう発想には

好き嫌いが分かれると思いますが。


さらに原発と市場経済のたとえも

画期的です。


社会のなかに含まれていた市場経済が

いつからか社会そのものを飲み込み

市場経済の発達とともに社会が分裂していく現状が

核分裂の様子に似ていると。


そして核分裂が制御できなくなると全てが破綻するように

市場経済を制御できなくなると社会が破綻すると。


危機の本質を知っておかないと

一喜一憂するだけで終わってしまいますよ。






けれども

どうやら

ぼくも含めて

大転換を起こせそうな気がしません。


敗戦の前後で

子どもたちが感じたような

衝撃的な社会の転換

(おとなの言うことが180度変わるような)

もはや日本では起こるべくもないような。




すばる 7月号の

(下)に続きます。




-日本の大転換(上)-

中沢新一

すばる 6月号から