ずっと前
新聞で紹介されていて
読みたいなあと思いながらも
きっかけがなかった本です。
最近
青子 さんのブログで紹介されていて
思い出し
さらにそのすぐ後に
新聞の広告で
映画化決定
の知らせとともに
文庫の紹介がされていたので
ようやく購入いたしました。
阪急今津線
何度か乗ったことがありますが
なかなかにいい味が出ています。
よく知りませんが
流石は阪急電鉄
小林一三さん
といった感じの
人の暮らしと娯楽が融合した
沿線です。
で
物語。
宝塚駅から
西宮北口駅までの8駅の往復で
物語は進行していきます。
読み始めたときは
軽い展開だなあ
とちょっと上から目線で感じました。
が
読み進めるうちに
どんどん物語の巧妙な構成に
引き込まれていき
軽妙洒脱
と感嘆しました。
解説で児玉清さんも書いているとおり
有川浩さんは
ライブ感を大切にしながら
物語を紡いでいるということですので
この軽い文体は
まさにうってつけなのでしょう。
文章そのものに味があり
鑑賞に値する美文も好きですが
ストーリーを際立たせるための
こういう簡易な文章も
いいものだと思いました。
図書館の男女の出会い
いわくの結婚式
祖母と孫
女子高生と社会人の彼
2組の大学生カップル
などなど
乗り合わせた
人たちのクロスストーリー
にページを繰る手が
早まります。
こういうのを連作短編って
いうんでしょうか。
袖振り合うも他生の縁
とはまさにこのこと。
個人的には
電車で見知らぬ人に声をかけるなんて
絶対にありえませんが
この物語のような展開なら
社会って素敵だと思います。
各短編のタイトルは
宝塚駅から西宮北口駅までの
各駅名。
往路もいいけど
数ヵ月後の
復路の物語が
ジーンとします。
少女とのやりとりとか
泣かせます。
大人には大人の出会いがあるものだけれど
ボーイミーツガールの瞬間って
人生で最高の瞬間だよなあ
ってつくづく思い出してしまいましたよ。
有川浩さんの
読者を楽しませたい
って気持ちが実によく伝わってくる
作品でした。
きっと
有川浩さん自身も
楽しみながら書いたのでしょう。
映画化に際しての注文は
おばさまグループを
いかにも関西人
っていう扱い方にしないこと。
こういうおばさまグループは
関西に限った話ではないと思われますので。
児玉清さんの解説にも
有川浩さんの作品への
好意が満ち溢れています。
阪急沿線在住者
必読の書です。
-阪急電車-
有川浩