自由死刑 | (本好きな)かめのあゆみ

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かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

島田雅彦さんの描く世界観は

ぼくには実にしっくりときます。


青い時代に読んで

かなり影響されています。


あしたの、喜多善男

っていうタイトルでドラマ化されていますが

内容はかなり違うようです。

(ぼくはこのドラマは観ていません。)


その名のとおり善良だが冴えない男が

何かに追い詰められているわけではないけれども

1週間後に自らを死刑に処す(つまり自殺です)

ことを決意した

それからの1週間の波乱を描きます。


ぼくは自殺は殺人の一種だと思っていて

嫌いですが

自分の死に方を決める自由の存在は

決して行使はしないけれども

担保しておきたいとも思っています。


それはさておき

淡々と死を決意した男が巻き込まれる

乱痴気騒ぎ

臓器売買

生命保険契約

振られた元恋人との再会

憧れのアイドルとの逃避行

殺し屋

などなど

およそ冗談のような展開で

物語が進んでいく様は

まさにぼく好みです。


そもそも島田雅彦さんの

作品の登場人物たちは

全くといっていいほど

浮世離れしていて

一切の生活感がないところが

楽しいです。


こういう人生に憧れます。

まさに浮き草人生。


で当初の構想になかったという

最終章。


ここは凄いです。


その前の章で物語としては

結末なんですが

最終章があることによって

物語の質が大きく変容します。


けれども哲学的な問いかけではなく

エンターテインメントとして

楽しみたい作品です。




-自由死刑-

島田雅彦