星の王子さま
人間の土地
と読んで
やっと
夜間飛行
に辿り着きました。
人間の土地
は
星の王子さま
の世界とはかなり違って
ハードな作品でしたが
胸をうちました。
この
夜間飛行
も熱いものがこみ上げてくる
作品でした。
今から僅か100年前の
郵便飛行草創期。
飛行機のスピードは
列車や船舶のスピードを
遥かに凌いでいましたが
ネックは夜に飛べないこと。
夜の飛行は
暗闇の中で
山などを越えなければならず
常に危険と隣り合わせでした。
郵便飛行会社の支配人
リヴィエールは
無謀といわれながら
これに挑みます。
パイロットたちも
チャレンジ精神旺盛な
勇敢な男たち。
リヴィエールの仕事の
支配の仕方はあまりにも非情です。
まさに厳格な上司
という感じです。
正直こんな上司の下で
働いていたら身も心も
持ちません。
しかし
このリヴィエールが
実に魅力的なんです。
部下たちを愛するが故に
厳しい要求を突きつけ
弱い心を封じ込めます。
弱い心はときに
部下たち自身を
危険にさらすからです。
名言も次から次へと
頻出します。
サン=テグジュペリ自身が
パイロットであっただけに
描写に臨場感がたっぷりです。
しかも哲学的です。
ヘミングウェイの
老人と海
同様に
仕事に行き詰ったときに
読みたい作品になりました。
-夜間飛行-
サン=テグジュペリ
訳 堀口大學