こころ | (本好きな)かめのあゆみ

(本好きな)かめのあゆみ

かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

久しぶりに読んでみて

10代で読んだときには

気づかなかったことに

いろいろと気づいたように思う。


結末を

うろ覚えながらも知っていたせいか

数々の伏線にその都度

意味を見出していた。


「私」とも

「先生」とも

「K」とも

似ている

ぼく。


金銭の問題

恋愛の問題

友情の問題


いろいろと場面は絡んでいるが

繰り返される主題は

こころの

理解しがたい

動き。


人間誰しもに潜む悪意。


信頼と裏切り。


理性と感情。


「K」は

先生に呪いをかけたような結果になったが

真の理由は何だったのか。


「先生」の奥さんに対する愛を

今の女性はどのように解釈するだろうか。


ぼくは

子弟の関係に憧れているので

「先生」と「私」の

つながり方にも興味がある。


あんな先生が欲しいし

あんな弟子も欲しい。


もちろん

恋愛の物語として読んでも

おもしろいと思う。


100年前も現在も

男女の恋の駆け引きは

そんなに変わらない。


ちょっと角度を変えれば

父親の死を迎える

家族の在りようも知れる。


現在なら父親の死の床を

あんなにゆったりと

家族揃って

見舞えることは

希少なのではないか。


それにしても

さすがは

文豪。


漱石の

物語に使われる文章の

洗練され具合。


透徹された感じがある。


名文が次々と現れます。


天上から全てを見極めているような

客観性が感じられます。


しかし

「先生」も「K」も


それをやっちゃあ、おしまいよ。


奥さんがいちばんかわいそうです。


「私」と奥さんのその後も

気になります。



-こころ-

夏目漱石