たまに無性に読みたくなります。
ソークラテースの弁明は
ロックンロールです。
どうせ誰も分かっちゃくれないだろうけど
それでもおれが信じることを
誰かに叫ばずにはいられない
って感じです。
(死んだ人の感想は聞けないから)
死が幸か不幸かは誰にも分からないけど
不正義を犯すことは悪であると誰もが分かっている。
不確実な不幸よりも
確実な悪を恐れる。
自分をごまかしながら
不正義を犯して生きながらえるよりも
自分の信じる正義を貫いて
死ぬ方がおれは納得できる。
ストレートなメッセージで
当時のアテーナイ(アテネ)の
若者たちのハートを鷲掴みにしていたんでしょうね。
世の中の偉そうな奴らは
結局何も分かっちゃいないんだぜ。
おれもバカだけど
何も分かっちゃいないことが分かっている分だけ
奴らよりはずっとましさ。
自分を欺きながら
不正や怠惰に気づかない振りをして
毎日をどうにかやり過ごしているのも
この世知辛い世の中を
生きていくためには仕様がないことだと
醒めたわけ知り顔で暮らしている
ぼくなんて
ソークラテースには哀れな醜い人間に
見えるんだろうね。
そういうわけで
明日からも
これまでどおり
日々をだましだまし生きていくことになるんですが
ときどき彼のことばを聞きたくなるぼくにも
まだロックなハートは残っているでしょうか?
-ソークラテースの弁明-
プラトーン
田中美知太郎 訳