ぼくにも王子様の時代があったのに。
象を飲み込んだボアの絵も描けたのに。
女の人って、誰でもバラだね。
ぼくには理解できない。
一緒にいるだけで幸せなのに、
一緒にいればいるほど息苦しくなる。
ぼくは星を数えない。
ぼくは喉が渇かない薬で時間を節約するより、
時間をかけて自分で汲んだ水を飲みたい。
大切なものは目には見えない。
少しづつでないと、大切な絆は結べない。
時間をかけて、少しづつ、少しづつ。
ぼくのからだは消えてなくなっても、
こころは自由。
あの夜空のたくさんの星のどこかで、
きみが笑っているから。
すべての星がきらきら笑っているよ。
-星の王子様-
サン=テグジュペリ
訳 河野万里子