生活習慣病
 
無駄なものを過度に食べてしまったり、頭では体に良くないと思っていても「ついやってしまう」行動を長期的に継続することによって引き起こされる疾患の総称
 
かつては成人病と呼ばれていたこれらの疾患は、
1997年に予防できるという認識を醸成することを目的として「生活習慣病」という呼び名に変更されたことは有名な話です。
 
確かに生活習慣が適切な方向に変容することで、これらの疾患が予防できる確率は格段に増すことは間違いない。
 
一方で考えたいこと、
 
生活習慣病を引き起こしてしまう原因である「よからぬ生活習慣」はどのように改善することが出来るのか。
 
名称が変わった現在でもこれらの疾患が減少しているという事実はありません。
むしろ増えている。
 
「よからぬ生活習慣」を「適切な生活習慣」に変容させるためには、行動自体を直接変えようすることもさることながら、
 
そもそもの「よからぬ生活習慣」を引き起こしてしまう原因を探らなければいけない
 
「糖尿病になりたくなければ歯を磨きなさい」の著者西田瓦氏は、本文の中で、この「生活習慣病」という名称を「社会病」に変更すべきだと述べています。
 
すなわち「善からぬ生活習慣病」が起こるのはその行動自体に原因があるわけではなく、
その行動を引き起こしてしまう、
その人の生活の背景にある社会情勢や環境にこそ原因が隠れているから
 
子どもも大人も忙しすぎる毎日、
 
自然環境と隔離された社会環境
 
現代人の対人関係スキルの低下を他所に、ますます複雑化するコミュニケーション環境
 
化学肥料、痩せた農地から収穫された、どこの国から輸入したかも生産過程も見えづらい農作物や食物
 
噛まなくてよい、一気に糖質を上げてくれる加工食品、
 
これらによって私たちの思考、判断や情動、欲求のコントロールの中枢である脳機能、
そして脳機能をもコントロールしていることが既に明らかになっている全身の生命線である腸内環境や内臓機能は低下の一途を辿っています。
 
だからこそ
心身の不安定を解消しようとした結果としての「よからぬ行動」を起こしてしまう。
 
喫煙、飲酒、過食、拒食このほかにもたくさん
 
これらが
睡眠、多様な活動、健全なコミュニケーション、社会活動の阻害要因になることは言うまでもありません。
 
既に浮き彫りになっている表層の部分に直接介入したとしても、仮に短期的な成果が見えたとしても、根本的な背景、原因に目が向けられ、そこに着手されない限りは、また元も状態に戻るか、以前よりも悪化してしまうこともある。
 
今のところ、既存の社会の中でより健康維持、増進を達成することは容易なことではありません。
 
多くの皆様の健康行動に繋がる適切な運動、情報提供とともに
 
その環境整備についても考えていきたいと思います。
 
 
昨日は東区の健康講座でした。