こんにちは、高嶋崇司です!
しゃぶしゃぶ食べ放題業界で、トップを走っていた「しゃぶしゃぶ温野菜」が、「しゃぶ葉」にその座を明け渡したというニュースをご存じでしょうか?
コロナ禍以降の外食産業の変化が如実に現れたこの事例を、少し掘り下げてみたいと思います。
「しゃぶしゃぶ温野菜」といえば、しゃぶしゃぶ食べ放題の代名詞といっても過言ではないくらい人気だったイメージがあり、事実、2016年には約400店舗を運営していた実績もあります。
しかし、コロナ禍で店舗数が減少し、2023年11月時点では216店舗に縮小してしまいました。
一方、2007年に後発として登場した「しゃぶ葉」は、低価格路線とファミリー層へのアプローチを武器に成長し、2023年10月末時点で295店舗を展開しています。
この明暗を分けた最大の要因は、価格帯とサービスの形態にあったようです。
「しゃぶしゃぶ温野菜」のディナーコースは、1人あたり約3,800円~6,500円と高め。
一方、「しゃぶ葉」は約2,200円~4,300円で、家族連れには手が届きやすい価格設定です。
また、「しゃぶしゃぶ温野菜」はスタッフが肉や野菜を運ぶ配膳スタイルに対し、「しゃぶ葉」はセルフサービスを採用。
サラダバーやデザートコーナーが充実しており、それが子どもも楽しめる「体験型」のレジャー性として支持を集めたのです。
昨今の物価高の中で、数千円の価格差はファミリー層の消費行動に大きな影響を与えたことでしょう。
さらに、セルフサービスによる自由度の高さやエンタメ性が、「しゃぶ葉」のファンを拡大することにつながったと言えます。
こうして見てみると、外食産業における成長戦略の鍵は、消費者のニーズをいかに的確に捉え、柔軟に対応するかにあることが分かります。
「しゃぶ葉」が低価格と自由度、エンタメ性を兼ね備えたスタイルで支持を得た一方、「しゃぶしゃぶ温野菜」はその質の高さを活かしきれていない印象があります。
今後、「しゃぶしゃぶ温野菜」が高級感を前面に押し出し、差別化を図ることで再び消費者の支持を集められるのか、それとも新たな戦略で巻き返しを図るのか、その行方に注目したいところです。