こんにちは。奈良田隆です。
今回はイタリアの「カステル・デル・モンテ」について書いていきたいと思います。

 



カステル・デル・モンテは、イタリア南部、プッリャ州アンドリアの郊外に位置する中世の城です。
1996年に世界遺産に登録されました。

カステル・デル・モンテは1240年に神聖ローマ帝国皇帝・フリードリヒ2世によって築かれました。
フリードリヒ2世は数学、天文学、自然科学に精通しており、イスラム文化にも寛容だったそう。
城の設計にも携わっていて、内部はゴシック様式とイスラム様式が混在しています。

城は天文学などの知識に基づいて設計されました。
黄金比を用いた八角形を取り入れており、八角形の中庭が八角形の壁に囲まれています。
上から見ると、八角形の各角にまた八角形の高さ24メートルの隅塔が8つ付属しているというこだわりよう。
細部までこだわった精緻な造りは、ドイツ的な性格が随所に現れているそうです。

入口は春分の日と秋分の日だけ朝日が差し込むようになっています。
エジプトのアブシンベル神殿や、メキシコのチチェン・イッツァ遺跡のクルルカンのピラミッドみたいですね。

かつて壁面を埋め尽くしていたとされる色大理石はほとんど持ち去られてしまい、柱の一部に残っているだけです。
現在は黄褐色の石壁がさらされています。

イタリアの中世の他の城とは異なり、礼拝堂や厨房、貯蔵室などはないそうです。
水洗トイレや浴室はあるとのこと。

吹き抜けの中庭から見上げる、八角形に切り取られた空に感動することでしょう。
なぜこれほどまでに八角形にこだわったのか、そしてその使用目的についても諸説あり、神秘的で謎に包まれています。
鷹狩りのために建てられたという説が有力なようですが、天体観測のため、占星術のため、錬金術など実験のために建てられたという説もあります。

城でイベントが開催されることもあるようなので、タイミングが良ければ見られるかもしれませんね。
城内は窓も多くあり、意外と明るいそう。
1つだけある3連窓からは、アンドリアの街が見えます。

城内見学が終わったら、城外もぐるっと1周するのがおすすめです。
360°遮るものがない、アドリア海、プーリアの街など素敵なパノラマビューを楽しめます。

幾何学的な美しさに満ちた8尽くしの城は、1ユーロセントの裏面にもその姿が刻まれました。
ぜひ丘の上に建つ美しい城をこの目で見てみたいですね。