認知症の妻が新宿で迷子に⑤ (反省会 編)
食後にコーヒーを飲みながら・・・
なぜ迷子になったのか?
誤解はどこにあったのか?
反省会です。
僕「今日はお疲れさまでしたー」
妻「ごめんね、いっぱいごめんね」
僕「大丈夫、会えたから」
妻「うん」
僕「でもさ、結局その、約束した『改札口の前で待ち合わせ』じゃなくて、改札くぐって中に入ったよね、構内にいた。どうしてそうなったの?」
妻「ん~ん、覚えてないの。全く覚えてない。でも・・・」
僕「でも・・・?」
妻「実際に中にいたんだから、私、パスモ持ってるから、それでピッて改札通って中に入ったんだろうね。ごめん全く覚えてないの」
僕「そっか。僕は『改札口前』のエリアばっかり捜したから、会えなかったんだね。携帯が通じたときに言ったけど、近くの改札口の名前や場所を駅員さんに聞いた?」
妻「うん。でも、駅員さんは、いっぱい教えてくれるし、早口だし、ほとんど覚えられなかった。駅員さん忙しいからね、聞き直すのもできないし、頭の中でごちゃごちゃごっちゃ笑」
僕「無理もないね」
妻「なんだか、途中から、改札とか入口とか構内とかホームとか、頭の中でごちゃごちゃしちゃって、全部分かんなくなってきた」
僕「全部分かんなくなったんだ笑」
妻「そう、全~部」
僕「それってね、お医者さんのいう『混乱してますね』じゃないかな、多分。
診察でさ、100から順に7引く計算するじゃない、で、初めは7引くんだけど、途中から続けて8引いたり、9引いたりしちゃうことがある、これは、記憶できないのではなくて、頭の中で『混乱』が起こってる状態だと言ってた。
記憶できないこと、忘れることと「混乱すること」は別のことなんだって。だから、記憶出来ていても『混乱』すると、わけが分からなくなる」
妻「あああぁぁ、やめてぇ、頭壊れそう、話題変えてぇ、お願い」
僕「ごめんごめん、先生が言ってたこと思い出したから」
妻「(僕をにらむ)」
僕「じゃあ、話変わるけど」
妻「うん」
僕「携帯が通じたときに『私、今小田急の改札の前にいる、看板にも書いてあるから絶対間違いないからここに来て』って言ったよね。僕は直ぐに小田急の地上1階の改札と地下連絡口へ行ったけど、両方ともいなかったよ」
妻「あ、ごめんなさい、あれね、小田急百貨店 (注:小田急百貨店新宿店ハルク)の入り口だったの。『入口はこちら』って大きな看板があったの」
僕「百貨店だったのか笑 ん、まあ、状況が大体分かった。見つからなかった謎が大体解けた」
妻「怒った?」
僕「怒ってなんかないよ」
妻「笑った?」
僕「うん笑った」
妻「ありがとう」
***
調子がいいとこんなに自然な会話ができるのに、どうして簡単に迷子になるのだろう?
それにしても、迷子になって、焦って、不安・緊張が強くなったときに、小田急電鉄と小田急百貨店を間違うのだろうか・・・? まあ、そんなもんなのかな。
妻は、お風呂に入って早めに寝た。
かなり疲れたのだろう。
僕も疲れた。
でも、本当によかった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
前回のブログです よろしければチラッと