無原罪の聖マリア
イエスの母であるマリアが「無原罪の聖マリア」と呼ばれるのは、マリアがその母であるアンナの胎内に宿ったときすでに罪の汚れから守られていたこと(=無原罪)を記念しています。
絵画や聖像では、無原罪を象徴するマリアは、白い衣と青いマントをまとい、地球の上に立って、悪の象徴である蛇を踏んでいる姿で多く描かれています。


無原罪の御宿り(むげんざいのおんやどり、ラテン語: Immaculata Conceptio Beatae Virginis Mariae)とは、聖母マリアが、神の恵みの特別なはからいによって[1]、原罪の汚れと穢れを存在のはじめから一切受けていなかったとする、カトリック教会における教義である[2]。無原罪懐胎(むげんざいかいたい)とも言う。1854年に正式に信仰箇条として宣言決定された[3]。



無原罪の御宿りの教義は、「マリアはイエスを宿した時に原罪が潔められた」という意味ではなく、「マリアはその存在の最初(母アンナの胎内に宿った時)から原罪を免れていた」とするものである。前提として、カトリック教会において原罪の本質は、人がその誕生において超自然の神の恵みがないことにあるとされる。キリストは原罪を取り除く者であり、マリアはキリストの救いにもっとも完全な形で与った者である。ルカによる福音書1:28にある「おめでとう、恵まれたかた」と天使から聖母マリアが言われたことには、原罪とは逆の状態、すなわち神がともにおられるという恵みが特別にマリアに与えられていることが示されているのであり、マリアが存在の初めから神と一致していることが示されているとされる[2]。

こうしたことから、マリアが存在の初めから神と一致し生涯と死を通じて人のいのちの完成に至ったこと、人類に対するキリストの救いのわざのもっとも完全で典型的な現れであるとし、そのことを示す二つの教義が無原罪の御宿りと聖母の被昇天であるとされている[2]。