10. 打込みの「大きさ」

 打込は、相手の模様や地構えの中に飛び込んで行ってそこで眼を造ったり脱出してしまうなど相手の地造りを根こそぎ妨害する手法を言います。そもそもが相手の石だらけの処に打ち込んで行きますので危険度は高くしっかり方策を立てないと召し取られてしまう事になりかねません。大体打込んで行って命を取られますと碁は負けになります。それを「持ち込み」と称しますが、似た行為に「ヤキモチ」があります。こちらは打ち込みと同じく相手の地造りを阻止したい気持ちから出発しますが、明らかに無理な打込や相手の強いゾーンに近寄り過ぎる失敗になります。相手の強い石と喧嘩しても勝てる見込みはありませんからそこは相手の地にさせるのが正解で近寄ってはなりません。「負ける戦いをしない」のが鉄則です。

 この「厚みに近寄るな」の格言は、相手の強い石に近付いても良い事は何もありません、と言う教えですが、これは自分の厚みにも近寄るな(囲うな)と言う意味でもあります。相手が近寄らないならば自分も近寄る必要(緊急性)がなく、放置しておいてもある程度の地が出来るものです。尚、ほぼ相手の地と認められる様な処に打ち込んで相手も付き合って呉れる場合、必ずしも損にならないならば「利かし」として打込む場合も少なくありません。