4. 出入り計算の「大きさ」

 碁の単位「目」をややこしくしている元凶は出入り計算だと思います。例えば、布石初期の四隅への拠点確保の手でもある隅を黒が占めるか白が占めるかによって、その隅は黒の+13目と白の+13目の違いが形に現れます。相手のプラスはこちらのマイナスであり、相手のマイナスはこちらのプラスですから相対的には26目の違いとなります。つまり、碁の着手は交互が絶対ならどちらかが置くとその石の上には置けませんので、打点のポイントは常に出入り(黒が置くか白が置くか)で形が造られることになり、出入りを基に判断することになりますが、二倍の数値を扱かっている意識が無いと間違える怖れはあります。

 碁のルール的にも日本と韓国はハマを敵地に埋める出入り方式が使われ、中国はハマは勝負に関係なく盤上に残った石数と地の和で勝敗を決めます。両者は基本的には同じ結果になりますが、中国方式はダメも1目にカウントしますので、時に最後に1目の違いを生ずること(セキの形や手止まりの差)があります。出入り計算を基に判断している「目」の数値と、単位としている目に二倍の違いがあることを理解しないと大きさの判断を間違えてしまいます。