「 AIの推奨手と形勢判断」

 当然ながら、あくまでも最後までAIが打つとしたらの前提で判断しているので、人が打つならば異なる判断になるかもしれない。AIも人の判断がベースではあるが100万人のベストと1人のベストでは、同じ判断が続く筈がない。

 面白い事に、AIの形勢判断の振れ具合をみると大方は、自分が打って良くなることは少なく、打つと悪くなるケースが圧倒的に多い。つまり、AIから見るとベストやベターから逸脱すると形勢を損なうわけで、人が正解を探求し選択し続ける難しさを示している。「碁は自分に負ける」と言われるが、正に理に合わない手を選んだ方が次第に形勢を損ない、その影響度が大きい程、更に悪手のタイミング(終盤に近いか)次第で勝負が左右されることになる。

 本来的には、この種の競技は相手より優位になる様に着手の最善選択を続けるもので悪手を求める為に打つのではないが、結果的には打ったが為に悪くなる競技になってしまう様である。従って、打たない(手抜き)ことが正解も多い。ただ、AIは一切「何故か」を説明しないし、弁解や言い訳もないので、針の振れ具合を唖然と見ているだけである。AIを進化させるならその「何故」の部分をアマにも分かりやすく示せる様にしてもらいたいものである。

 半目勝負のプロと10目単位のアマとではAIの推奨手がアマの最善手とは限らないが、真似することの繰り返しがいつの日かAIの真意に辿り着けると信じることにしますか。