僕がゲームショップで働こうと思った訳 | 元もじぴったんプロデューサーの生の知恵ブログ

僕がゲームショップで働こうと思った訳

僕がナムコでプロデューサーになってから最初に感じた事は、ゲームソフトを売る、という事について殆ど何も自分が知らないという事でした。


ゲームの開発をする、という意味ではそれほど不安はなかったのですが、広告宣伝、販売、流通の仕組み、知らない事がたくさんあったわけです。



社内で色んな人に聴いてまわったけれど、結局の所、PS2,GBA版のもじぴったんを発売するまでは特にお店の実態がよく分からずじまいでした。



そんな時、ある方の紹介で東京の葛西にあるゲームズマーヤというお店の事を知りました。お店の話を聞いた後、一度お店に行ってみたい、そう思いました。


ゲームズマーヤは決して大きなゲームショップではありませんが、業界でも非常に有名なお店です。何故か。一番の理由は、店長の秋谷久子さんが、本当にすごい人だからです。


秋谷さんは、お店に来るお客様の顔も名前も、過去にどんなソフトを買って、いつ中古で売りに来たか、それだけでなく今何年生だとか、家族構成とか、恋人がいるかどうかとか、本当にあらゆる事を覚えているのです。


そしてお客様とのコミュニケーションも密で、お客様にも非常に信頼の厚いお店です。



その後、3ヶ月程僕はゲームズマーヤで店員として立たせていただいて、その事をすごく実感しました(この時の話はまた別の機会にさせていただこうと思います)。



僕が本当にショックだったのは、それほど細かくお客様の事を分かっているゲームズマーヤでも、ゲームソフトの販売、特に新品のゲームソフトの販売ではやっていけない、という話でした。

新品のゲームソフトはお店が買取であり、利益率がそもそも低い事から、メーカーが売り逃げしてメーカーには利益が出ても、店頭では売れないソフトがあった場合、お店が損失をかぶる、赤字になる可能性が「ものすごく」高い、という事を、僕は知らずにゲームソフトの開発をしていたのです。

このあたりの数字的な話は平林和久さんのTweetがTogetterでまとめられているので、そちらを参照して頂きたいと思います。


http://togetter.com/li/100445


僕は、お店の事をもっと知る必要性を感じました。



それがプロデューサーの仕事をしながら、ゲームショップに店員として立たせていただこうと思った理由です。



これから何度かに分けて、僕がお店について学んだ事を書こうと思います。