河津桜が咲き誇り、一足早い春の訪れを告げている、というニュースを聞いたそのすぐ次の日から、寒い冬に後戻りしてから一週間。
体調が崩れないよう着るものの選択には、天気予報を頼りに何かと気を使う今年の冬です。
それでも、ダウンコートを着るのも、あと少しの日々になってきたかと思います。
防寒着のことで前から気になっていたことを思い出しました。
現代の冬の防寒着の王者はダウンコートだと思います。
そこで、ダウンコート・ダウンジャケットはいつ頃から着られるようになったのか、調べてみました。
ビートルズのメンバーのウェアについて、まず見ていきます。
1969年1月30日にイギリス・ロンドンのアップル・コア本社の屋上で行った有名な「ルーフ・トップコンサート」でメンバーが着用していたのは、つぎのようでした。(私の勝手な推測です。)
ジョン…黄土色のファー
ジョージ…黒のファー
リンゴ…赤のレザー
ポール…グレイの3ピーススーツ
そして、サポートメンバーのビリー・プレストン…黒のレザー
ポール以外は、動物由来のコート(ジャケット)なのです。
それもそのはず、1969年当時、ダウンやそれに代わる化繊製品はファションアイテムではありませんでした。
ダウンジャケットの歴史は、1936年にドイツ系アメリカ人のエディー・バウアーにより発明され、1980年代からモンクレールのダウンジャケットはフランスやイタリアでファッションアイテムとして認知には高級ブランドとしての信頼を確立された、ということです。
(※https://story.nakagawa-masashichi.jp/44480より)
ダウンのジャケット・コートが主流になっていくとともに、ファーやレザーは、動物愛護の観点から着用するのは恥ずかしいと考える社会となり2010年代から急速に減少していきました。
もっとも、ファーとレザーに対する認識の違いもあり、レザーの方は許されるということらしいです。
また、水鳥の羽毛であるダウンやフェザーは問題ないのでしょうか?
さらに毛織物のコートも羊の毛で作られていますが、これはセーフ?…。
とにかく、綿入りの半纏のような植物由来の原料が使われている衣料は、まずお目にかかることはありません。
考えれば考えるほど、難しい問題です。
一方で社会は、石油由来製品で溢れ出すのに、そう長い年月はかからず、それに歯止めをかけようと、ペットボトルの回収、レジ袋の有料化、マイフォーク&ナイフ、紙のストロー…と次々と脱石油製品の動きは進んできました。
しかし、衣料品に関してはどうでしょうか?
「ナイロンやポリエステルの衣料を着るのはやめよう」という呼びかけを聞くことはないし、そもそもこれだけ普及しているのを止めるのは無理です。
持続可能な開発目標を掲げて、世界中の環境問題・差別・貧困・人権問題といった課題を2030年までに解決するということが、どれだけ困難を伴う目標であるか、と思ってしまいます。
地球環境や資源が適切に保全され、将来に渡って平和で豊かな生活が持続できる「サステナブルな社会」の実現のために何ができるか。
どのような資源も「採りすぎない」「採ったものは最後まで粗末にしない」という他はないような気がします。
そして、革製品も同じかなと思います。
レザーのコートやバッグをよく手入れして何十年も大切に使い続けるのであれば、「環境保護に悪いこと」にはならないのではないかというのが私の一つの結論です。
肉や魚などを仏教の教えにある「いただきます」という気持ちをもって美味しく頂戴するわけです。
とは言え今日も、クローゼットの奥にしまってある羊革のジャケットの袖に手を通すことなく、
「街に融け込むダウンジャケットを着て出かけることにしようかな」と考える自分がいます。
生き物である人間に煩悩は尽きません。