鉄道車両、というより鉄道システムに対する趣味的な面白さのひとつとして、型式や所属、用途などの数字や文字記号の標記の多様性への興味ということがあります。
貨車の場合、機関車や電車以上に標記の種類、分量は多く、それをしっかりモデルに再現させてやると、ぐっと楽しくなります。
ただ、今作っているタサ1700形タイプも、「形は出来た」まではいいけれど、その後の車番などの標記は、自信がない、というか不得意であることを自覚しているため、なかなか作業に取り掛かれませんでした。
しかも、今回は「インレタ」のほかに、「デカール」まであります。
今回使用したのは、つぎの商品です。
①デカール
0896 タンカー用メーカーマークB
[メーカー名] 安達製作所 440円
②インレタ
5008W タンク車番インレタ 白
[メーカー名] くろま屋
[品番] 5008W
[価格] ¥770
5509 タンク車標記
[メーカー名] くろま屋
[品番] 5509
[価格] ¥770
ガソリン専用 燃32
[メーカー名] くろま屋
[価格] ¥550
まず、安達のデカールから行いました。
石油精製会社のマークと社名表示です。
着手する前に、香坂きのさんの「香坂きのと模型人」というyoutube動画をみて、デカールをうまく貼るスキルを理解し、自信をもって作業を始めました。
それでも、何回か失敗してしまいましたので、これは手先の不器用さを露呈したというところです。
今回得た教訓です。
◯デカールが水分を吸ってしなやかにスライドするまでムリに引っ張らないこと。
◯ピンセットを使わずに、自分の指、綿棒など柔らかいタッチで取り扱うこと。
◯水を吸って接着力が弱くなっても気にせず、マークセッターを使うこと。
(マークセッターを染み込ませれば、しっかりと固着することができる)
デカールが貼れた後、つぎはインレタです。
車番、形式名、用途、重量等を順次貼っていきます。
さすがに、インレタ貼りでは失敗なし、と行きたいところてすが、
車番については、転写面側にメンディングテープを貼ってしまうというヘマをやってしまいました。
車番と石油精製会社のメーカー名は一致していないと思います。
タサ1700形は、1949年から1962年の長きにかけて製造されました。
タンクは溶接で組み立てられていますが、元になったウォルサーズ社の「36′TANK CAR」は、リベット留めになっていて、おそらく1920年代かそれ以前の車両ではないかと推察されます。
リベット帯が邪魔して思った位置にマークやレタリングができないことから、日本型のムードを楽しむことに割り切り、印象本意でいい感じになるよう、適当な位置に適当なマーク、車番等をセッティングしました。
このようなモデルでも、私には昭和の国鉄の雰囲気を十分に伝えてくれます。
中でも、石油精製会社が群雄割拠し、覇を競うように表示されていた各社のマークは、数社に統合されてしまった現在、とても懐かしく思い出されます。
それで、今回マークを使った精製会社の社歴を調べましたが、アメリカ、イギリス等、国外の企業の資本関係や分社化、統合の歴史があまりにも複雑で、正確なところはとても整理できるどころではありませんでした。
◯大協石油の桜マーク
1939年9月4日大協石油株式会社が設立される。
1984年4月1日丸善石油と共に、石油精製部門を分社化し、旧・コスモ石油(精製コスモ)を設立、2年後の1986年コスモ石油誕生まで使用されたか?
◯「ESSO」
1961年にエッソ・スタンダード石油が設立される。
2017年、JXTGエネルギー(現:ENEOS)に吸収合併及びENEOSブランドへ統合されるまで使用されたか?
◯Mobil
1911年アメリカで設立のStandard Oil Company of New Yorkから赤いペガサスのロゴマークを使用。
1964年より、「モービル」のロゴマークになる。2017年、ENEOSブランドへ統合まで使用されたか?
(参考)
https://logomarket.jp/labo/logomark_mobil/
https://commons.wikimedia.org/wiki/Special:MyLanguage/Commons:Wiki_Loves_Folklore_2024
それから化成品ブランド番号(「燃32」)は1979年(昭和54年)10月に制定され、現在も日本貨物輸送(JR貨物)でそのまま使われています。
こうして調べていくと、今回作ったタンク貨車は、1979年以降1986年辺りまでを再現した貨物列車を復元したものと考えるのが適当のようです。