サブタイトルを「掴み棒のこと」としましたが、鉄道(模型)の用語には、ときどき正式名称がよくわからないものが出てきます。
「掴み棒(つかみ棒)」もその一つで、鉄道模型のパーツ名としては、「握り棒」という名称と半々ぐらいの割合で使用されているようです。(この項では、漢字の掴み棒で表記します。)
国鉄の電気機関車は、EF58以前の機種はほとんどがデッキ付きで、そこを頑丈な手すりが囲っていて、掴み棒は不要であり、またEH10以降はスカートに小さなステップ、前面に手摺り付きで、これも掴み棒は要りません。
こうしてみると、掴み棒は、EF58形を特徴付ける重要な装備品の一つとも言えそうです。
掴み棒や手摺が付いていないと、列車誘導員が旗を振って機回し作業する時に危なくて作業に大変支障をきたします。
分散動力の列車を牽引する機関車には、なくてはならないものです。
(登場時の掴み棒なしの時代の様子を知りたいところです。)
今回補修している古い天賞堂のEF58は、青15号にクリーム1号を警戒色として配した、いわゆる新標準色に塗られたモデルですので、掴み棒はどうしても付け加えたいところです。
掴み棒を付ける工作の実際に行く前に、今少し、それに関連して私の思いを書きます。
それは、「カーブに差し掛かった時のEF58に掴み棒が大きく内側に振れて車体がはみだしいる様は、何かおかしくないか?」と強い違和感を感じ、何とか出来ないかということです。
掴み棒なしのツートンカラーに塗られたEF584号機などには、それほどの違和感をもつことがないのに、です。
ポディーと掴み棒が同時に目に入ってくるので、掴み棒の横振れは、無いものにはできないのです。
16番をガニ股と言ったり、架線の張っていないレール上を電機が走ることに違和感を持つと言われたりする人は大勢いらっしゃいますが、掴み棒の横振れを何とかしたいと、解決策を模索した模型メーカーやモデラーの方の声はあまり聞いたことがありません。
急カーブでも脱線することなく安定して走行し、カプラーの性能も確保し、しかも端梁の形状も実車にまごうことなく正確に模型化するには、現状採用されている模型構造が、行き着くところのベストであると、私もそう思います。
しかし、他に、うまい処理方法は無いものか、改良の余地はありそうです。
それで、まず、日本型よりも大きなスケールの電気機関車が数多く存在していた米国型の状況を探ることにしました。
と言っても、米国型には、全く疎くて、ネットで調べるしかありません。
EF58と同じ軸配置の2C+C2をもつ電気機関車に、ミルウォーキー鉄道のEP-3、ニューヘブン鉄道のEP-2があることがわかりました。
しかし、どちらもEF57のようなデッキ付きの機関車で、掴み棒の処理方法の参考にはなりません。
(デッキ付き機関車のデッキがボディー本体と離れてカーブで曲がるのも見苦しいですが、EF58の端梁以上に構造変更は難しく、私には手を出せないと感じています。)
ただ、それらの米国型の電機のモデルのことは皆目わからず、別の機会に調べてみたいと思っています。
ところで、米国型のF級電機のモデルの構造を闇雲に探っていたわけではなく、EF58の端梁については、自分の中に、一つの解決策のアイディアは、持っていました。
動力台車から伸びる先台車支持装置?を先台車のセンターピンが付く位置あたりでカットして、端梁(とカプラー台)は、ポディー側に固定してしまうという方法です。
もちろん、それでは大きなカーブにしか対応できませんので、付随車を連結する第2エンドは現状のままとし、端梁をポディーに取り付けるのは、第1エンドのみになるでしょう。
列車の先頭に立つのは、第1エンド側と向きが決まってしまいますが、トレインマークは片側にしかつけないし、テンダー機関車だったら当たり前です。
そこまでアイディアを膨らませていくと、日本型にこそ端梁の処理上の参考になる機種があることに思いが至りました。
2C+C1の軸配置をもつEF55形です。
この第1エンドのみ流線形の車体が被せられた機関車は、当初連結器格納式だったものが、数年後に連結器が常時丸見えの、いわゆる「連結器カヴァー付き」に改造されました。
この「連結器カヴァー付きEF55形」を、模型仲間の方のお一人がOJゲージでコロナ禍前の3年前から製作していらっしゃいました。
この次お会いできたら、ぜひとも連結器カヴァーのことなど、お聞きしたいと思っています。
今回、実際に修繕中のEF58で端梁のボディー固定化を試せば良いのですが、今回は「ゆるい修繕」に留めることにしていますので、このアイディアは、いつか、そう、未塗装ボディーのモデルの製作の折にやりたいと思います。
それでは、EF58ウォームの補修の実際の記録です。
④摑み棒を付ける。
天賞堂から、掴み棒のパーツは分売されていますので、それを使います。
スケール通りなのでしょうか?
以前採用されていたものよりも、繊細なものです。
その掴み棒パーツにエコーモデルの細密バイブを差し込みます。かなりキツめなので、接着等しなくてもグラグラしません。
それをそのまま、端梁にハンダ付けするばいいだけです。
パイプは、カットせず長いままにしてハンダ付けして、その後糸鋸で切り目を入れ所定の寸法にすることがコツです。
パイプを長いままにしておけは、手で持って取付角度を確認しながら、ハンダ付けすることができます。
それから、端梁パーツを動力台車から外しますが、再組み立ての際に、ワッシャーや復元バネなどの順番を間違えないようビス留めします。
このとき、留める順番がわからなくなる時がありますので、面倒でも図に書いておくと間違いなくできます。
今日は、この辺りまで。次回に続きます。