昔々のことになりますが、技術出版社という雑誌社から月刊「模型と工作」という雑誌が出ていました。読者層は、主に小学校高学年と中学生だったと思います。鉄道模型をつくり始めたきっかけが、この雑誌の製作記事だったという方も少なくないと思います。
少し前に、ヤフオクに「模型と工作」1968年9月号が出されていて懐かしくなり、入札、めでたく手に入れることができました。中学生の頃、数冊を近くの古本屋さんで買った記憶はありますが紛失してしまいました。当時は意識しませんでしたが、久しぶりの紙面をパラパラとめくると、一気に、ものづくりに対する夢や憧れに満ちた時代の空気が漂ってきました。
さらに、この号は、第8巻10号となっていて、表紙のアート紙が普通よりも少し厚い紙が使われていて、目次も手書きの文字で書かれていました。不思議に思って調べてみると、この号をもって休刊され、以後発刊されることはなかったそうです。紙面には、休刊を匂わす言葉はどこにも見つけ出せませんでしたが、編集者の方々は並々ならぬ思いを込めて編集にあたったことでしょう。
この「模型と工作」誌は、鉄道模型専門誌ではなく、飛行機や自動車、船舶の模型も扱われていて、しかも電気工作や実用品、アイディアや発明といった幅広い内容になっています。その内容のバラエティーさこそ、タコツボにハマることなく、大らかにものづくりの面白さを感じて、自ら工作したいと思えるエネルギーを注入してくれる源泉ではないかと思われます。鉄道模型だけの特集号では気づかなかったことです。
これまで完成品の端正さと比較して、まだまだと、めげることがよくありましたが、つくる喜びの原点が見つかったような気がしました。
表紙です。
目次です。